【機械学習】モデル学習フローの全体像をわかりやすく解説!

2025年5月7日水曜日

アーキテクト

AIや機械学習のプロジェクトで結果を出すには、モデル学習フローの理解が欠かせません。なんだか難しそう?いえいえ、ご心配なく!

この記事では、機械学習の心臓部とも言えるモデル学習のフローについて、その全体像から各ステップで何をするのか、そしてプロジェクトを成功させる秘訣まで、まるっと解説していきます。

読み終わるころには、モデル学習のフローが手に取るようにわかるようになっているはず!

この記事でわかること

  • モデル学習フローの基本的な考え方
  • データ収集からモデル活用までのステップ
  • モデル学習を進める上での注意点
  • 実際にモデル学習を始めるためのネクストステップ

モデル学習フローとは?

さてさて、そもそもモデル学習のフローって一体何でしょう?

簡単に言うと、AIに賢くなってもらうための手順書みたいなものです。家を建てるときに設計図が必要なように、AIモデルを作るときにも、しっかりとした計画と手順が必要になります。

なぜ、このフローを理解するのがそんなに肝心なのでしょうか。それは、闇雲に作業を進めても、良いAIモデルは作れないからです。

どの順番で、何をすべきかを知っていれば、効率的に、そして効果的にAI開発を進められます。料理のレシピを知っていれば美味しい料理が作れるように、モデル学習のフローを理解していれば、データという材料から価値あるAIモデルを生み出すことができるようになるわけです。

次項よりAIモデルがどうやって作られていくのか、その舞台裏を覗いてみましょう!きっと新しい発見があるはずです。

モデル学習フローの全体像を掴む7つのステップ

モデル学習のフローは、大きく分けて7つのステップで進められます。まるで冒険の地図みたいに、一つ一つのステップがゴールへと繋がっています。まずは、その全体像を一緒に見ていきましょう!

ステップ1: データ収集と理解
     ↓
ステップ2: データ前処理
     ↓
ステップ3: モデルの選択
     ↓
ステップ4: モデルの学習
     ↓
ステップ5: モデルの評価
     ↓
ステップ6: モデルのチューニングと改善
     ↓
ステップ7: モデルのデプロイと運用 (おまけ)

こんな感じで、データという原石を見つけるところから始まり、それを磨き上げ、AIという宝石を作り出し、最後には実際に役立てるところまでが一連の流れになります。

一つ一つのステップが、次のステップへとバトンを渡していくイメージですね。では、各ステップをもう少し詳しく見ていきましょうか。

【ステップ1】データ収集と理解

冒険の始まりは、宝の地図ならぬデータの収集からです!AIモデルにとって、データはガソリンのようなもの。どんなに高性能なエンジン(AIモデル)があっても、ガソリン(データ)がなければ動きませんし、質の悪いガソリンではすぐにエンストしてしまいます。

例えば、明日の天気予報をするAIを作りたいなら、過去の天気、気温、湿度、風向きといった気象データをたくさん集める必要があります。お客様におすすめの商品を提案するAIなら、過去の購買履歴や閲覧履歴のデータが活躍するでしょう。

データは、インターネット上に公開されているものを使ったり、社内に蓄積されているものを活用したり、アンケートを取ったりと、色々な方法で集められます。

そして、ただ集めるだけではダメ。集めたデータがどんな特徴を持っているのか、しっかりと理解することが肝心です。データの中におかしな値は混じっていないか、偏りはないか、などをじっくり観察します。データの健康診断をするようなイメージですね。ここで手を抜くと、後で痛い目を見ることになるかもしれませんよ!

【ステップ2】データ前処理

集めたばかりのデータは、いわば原石のまま。そのままではAIモデルがうまく扱えないことがほとんどです。そこで必要になるのが、データの前処理という磨きの作業です。

例えば、アンケートの回答で空欄になっている部分(欠損値と呼びます)があったら、どうしましょう?そのままにしておくと、AIモデルが計算できなかったり、おかしな結果を出したりすることがあります。なので、平均値で埋めたり、あるいはそのデータ自体を使わないようにしたり、といった対処が必要です。

他にも、AIモデルが理解できるように文字データを数値に変換したり、数値のスケールを揃えたり(例えば、年齢と年収では数値の大きさが全然違いますよね?)、不要な情報を取り除いたりします。

地味な作業に見えるかもしれませんが、この前処理の出来栄えがAIモデルの性能を大きく左右すると言っても過言ではありません。美味しい料理を作るための下ごしらえと同じくらい、丁寧さが求められるステップなんです。

【ステップ3】モデルの選択

さて、データの下ごしらえが終わったら、いよいよAIモデルの選定です。AIモデルと一口に言っても、実はたくさんの種類があります。解決したい問題の種類や、データの特性によって、最適なモデルを選ぶ必要があります。

例えば、過去のデータから明日の株価を予測したい(数値を予測する問題)なら回帰モデルという種類が使われます。迷惑メールかどうかを判定したい(どちらかに分類する問題)なら分類モデルが活躍します。顧客をいくつかのグループに分けたい(仲間分けをする問題)ならクラスタリングモデルといった具合です。

最初はどのモデルを選べばいいか迷うかもしれませんが、心配はいりません。それぞれのモデルには得意なことと苦手なことがあるので、問題に合わせて適切なものを選んでいくのが基本です。まるで、道具箱から最適な工具を選ぶような感覚ですね。慣れてくると、この問題ならあのモデルが良さそうだぞ、とピンとくるようになりますよ。

【ステップ4】モデルの学習

いよいよAIモデルにデータを食べさせて、賢くしていく学習のステップです!ここでいう学習とは、AIモデルがデータの中からパターンやルールを見つけ出し、それを自分のものにしていく作業を指します。

学習を進める際には、準備したデータを学習用データとテスト用データ(または検証用データ)の2つに分けるのが一般的です。なぜ分けるのでしょう?それは、モデルが未知のデータに対してもしっかりと性能を発揮できるかを確認するためです。

学習に使ったデータだけで良い成績が出ても、それはカンニングしてテストで高得点を取るようなもの。初めて見る問題(テストデータ)でも実力を発揮できてこそ、本物の賢さと言えますよね。

学習用データを使ってAIモデルに問題と答えをたくさん教え込み、モデル内部のパラメータ(設定値のようなもの)を調整していきます。このパラメータ調整こそが、AIが賢くなる秘訣なのです。

【ステップ5】モデルの評価

学習が終わったら、作ったAIモデルがどれくらい賢くなったのか、成績表をつけて評価します。この評価がいい加減だと、使えないモデルを世に出してしまうことになりかねません。

評価には、目的に応じた様々な指標が使われます。例えば、迷惑メールフィルターのAIを作った場合、迷惑メールを正しく迷惑メールと判定できた割合(適合率)や、迷惑メール全体のうちどれだけを迷惑メールと判定できたか(再現率)などが評価のポイントになります。病気の診断をするAIなら、健康な人を病気だと間違える(偽陽性)よりも、病気の人を見逃す(偽陰性)方が問題ですよね。このように、何を重視するかによって、使うべき評価指標も変わってきます。

評価結果を見て、モデルの性能が目標に達していなければ、前のステップに戻って改善を試みます。まさにトライアンドエラーの世界ですね。

【ステップ6】モデルのチューニングと改善

一度で完璧なAIモデルができることは、残念ながらほとんどありません。評価結果がイマイチだったり、もっと性能を上げたかったりする場合、モデルのチューニングと改善というステップが待っています。

チューニングとは、AIモデルの細かな設定(ハイパーパラメータと呼びます)を調整して、性能を最大限に引き出す作業です。まるで楽器の調律のように、微妙な調整で音がガラッと変わることもあります。また、使っているデータ(特徴量と呼びます)を見直したり、学習データの量を増やしたり、あるいは全く別の種類のAIモデルを試してみたりすることも改善に繋がります。

この試行錯誤のプロセスこそが、モデル学習の醍醐味の一つと言えるかもしれません。根気は必要ですが、工夫次第でモデルの性能がグンと上がることもあり、パズルを解くような面白さがありますよ。

【ステップ7】モデルのデプロイと運用(補足)

素晴らしいAIモデルが完成したら、いよいよそれを実際に役立てるステップ、デプロイです!デプロイとは、開発したAIモデルを実際のシステムやサービスに組み込んで、ユーザーが使えるようにすることを指します。例えば、ECサイトでおすすめ商品を表示するAIなら、そのAIをウェブサイトのシステムに接続する作業がデプロイにあたります。

そして、モデルは作って終わりではありません。運用を開始した後も、定期的に性能をチェックし、必要に応じて再学習や改善を行う必要があります。世の中の状況は常に変化しますから、一度作ったAIモデルが永遠に最高の性能を維持できるとは限らないのです。AIモデルも人間と同じように、定期的な健康診断とメンテナンスが欠かせない、というわけですね。このステップは少し専門的になるので、今回は補足的な紹介に留めておきます。

モデル学習フローで失敗しないための重要ポイント

ここまでモデル学習の各ステップを見てきましたが、このフローをスムーズに進めて、良い結果を出すためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

やみくもに作業を進めるのではなく、これらのポイントを意識することで、プロジェクトの成功確率をグッと高めることができるでしょう。一つずつ確認していきましょう。

データ品質の確保はモデル学習フローの生命線

何度も言いますが、AIモデルの性能は、入力されるデータの質に大きく左右されます。どんなに腕の良いシェフでも、質の悪い食材からは美味しい料理は作れませんよね。それと同じで、AIモデルも質の悪いデータからは、賢い判断を引き出せません。

「ゴミを入力すればゴミしか出てこない(Garbage In, Garbage Out)」というのは、データサイエンスの世界では有名な言葉です。データ収集の段階で、本当に必要なデータか、信頼できる情報源か、といった点を確認しましょう。

そして、データ前処理の段階では、欠損値や外れ値、ノイズなどを丁寧に取り除き、モデルが学習しやすいようにデータをキレイに整えることが何よりも肝心です。この最初の関門をしっかりとクリアすることが、プロジェクト成功への近道ですよ。

目的設定の明確化がモデル学習フロー成功の鍵

何のためにAIモデルを作るのか、そのモデルを使ってどんな問題を解決したいのか。この目的を最初にハッキリさせておくことが、プロジェクトを成功に導くための羅針盤になります。

例えば、単に「売上を予測したい」というだけでは不十分です。「いつの時点の売上を、どのくらいの精度で予測したいのか」「その予測結果を何に使うのか(例 在庫管理、人員配置など)」まで踏み込んで目的を明確にすることで、必要なデータの種類や、目指すべきモデルの性能、そして適切な評価の方法が見えてきます。

ゴールが曖昧なまま走り出してしまうと、途中で道に迷ったり、的外れなAIモデルを作ってしまったりする可能性があります。最初にしっかりと目的地を設定することで、モデル学習のフロー全体を通して一貫した判断ができるようになります。急がば回れ、ですね!

適切な評価指標でモデル学習フローの成果を測る

作ったAIモデルが良いものかどうかを判断するためには、目的に合った正しい物差し(評価指標)を選ぶことが非常にたいせつです。テストの点数がいくら高くても、それが本当に実社会で役立つモデルであることを示しているとは限りません。

例えば、クレジットカードの不正利用を検知するAIモデルを作ったとしましょう。この場合、不正利用を一件も見逃さないこと(再現率)が、正常な取引を間違って不正と判定してしまうこと(適合率との兼ね合い)よりも重視されるかもしれません。一方で、おすすめ商品のAIなら、クリック率や購入率が評価指標になるでしょう。

間違った物差しで測ってしまうと、モデルの本当の実力を見誤り、プロジェクトが思わぬ方向に進んでしまう危険性があります。どんな問題を解決したいのか、という原点に立ち返り、最もふさわしい評価指標は何かを慎重に選ぶようにしましょう。

さあ始めよう!モデル学習フロー実践のための次のステップ

ここまで読んで、モデル学習のフローがどんなものか、だいぶイメージが湧いてきたのではないでしょうか?理論を学んだら、次は実際に手を動かしてみるのが一番の近道です!

「でも、何から始めたらいいの?」と不安に思う方もいるかもしれませんね。大丈夫!ここでは、初心者の方でも安心してモデル学習の世界に飛び込めるように、おすすめの学習方法や、実際に試せる題材を紹介します。さあ、冒険の準備はいいですか?

おすすめ学習リソースとツール紹介

モデル学習のフローをさらに深く、そして実践的に学ぶためには、良質な情報源や便利な道具があると心強いですよね。ここでは、初心者の方におすすめのものをいくつかピックアップして紹介します。

  • オンライン学習プラットフォーム
    ProgateやUdemy、Courseraなどでは、動画を見ながら自分のペースで機械学習を学べるコースがたくさんあります。
  • 専門書籍
    初心者向けの分かりやすい入門書も多数出版されています。図解が多いものや、サンプルコードが豊富なものを選ぶと良いでしょう。
  • Pythonとライブラリ
    プログラミング言語Pythonは機械学習でよく使われます。特に「Scikit-learn(サイキットラーン)」というライブラリは、様々な機械学習の手法が簡単に試せるので、最初のステップとしておすすめです。
  • GUIで試せるソフトウェア
    プログラミングに自信がない方でも、マウス操作で機械学習を体験できるOrangeやWEKAといったソフトウェアもあります。まずは触ってみる、というのも良い経験になりますよ。

これらを活用して、まずは手を動かしながら学ぶのがおすすめです。理論だけではピンとこなかったことも、実際にやってみることで「なるほど!」と理解が深まるはずです。

簡単なモデル学習フローを体験してみよう

百聞は一見にしかず!実際に簡単なデータを使って、モデル学習のフローを一通り体験してみましょう。ここでは、プログラミング言語Pythonと、機械学習ライブラリのScikit-learnを使ったごく簡単な例を紹介します。アヤメという花の種類を分類するAIモデルを作ってみます。

準備するもの

  • Pythonの実行環境 (Anacondaなどをインストールすると便利です)
  • Scikit-learnライブラリ (pip install scikit-learn コマンドでインストールできます)

サンプルコード(アヤメの分類)

# 必要なライブラリを読み込む
from sklearn.datasets import load_iris
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.neighbors import KNeighborsClassifier
from sklearn.metrics import accuracy_score

# 1. データの準備 (収集と理解)
iris = load_iris()
X = iris.data  # アヤメの特徴量 (がく片の長さ、幅など)
y = iris.target # アヤメの種類 (0:setosa, 1:versicolor, 2:virginica)

# 2. データの前処理 (今回は簡単なため、ほぼ不要ですが、学習用とテスト用に分割します)
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.3, random_state=42)
# random_state は結果を固定するためのもの

# 3. モデルの選択 (k近傍法という分類モデルを使います)
model = KNeighborsClassifier(n_neighbors=3)

# 4. モデルの学習
model.fit(X_train, y_train)

# 5. モデルの評価
y_pred = model.predict(X_test) # テストデータで予測
accuracy = accuracy_score(y_test, y_pred) # 正解率を計算

print(f"アヤメ分類モデルの正解率: {accuracy:.2f}")

# (6. チューニングや 7. デプロイ はこの例では省略します)

実行結果の例

アヤメ分類モデルの正解率: 1.00

このコードを実行すると、アヤメの種類を予測する簡単なAIモデルが作られ、その正解率が表示されます。(データがシンプルなため、高い正解率が出やすいです)。

たったこれだけのコードで、データ準備からモデル学習、評価までの一連の流れを体験できるんです。どうです?なんだかワクワクしてきませんか?

もちろん、実際のプロジェクトはもっと複雑ですが、この小さな成功体験が、次のステップへの大きなモチベーションになるはずです。

【まとめ】モデル学習フローを理解してAI開発の第一歩を

いやー、モデル学習のフロー、なかなか奥が深いけれど、面白い世界だと思いませんでしたか?

この記事では、AI開発の設計図とも言えるモデル学習のフローについて、その全体像から各ステップの役割、そして成功のための秘訣まで、できるだけ分かりやすく解説してきました。

もう一度、この記事のポイントを振り返ってみましょう。

  • モデル学習フローはAIを賢くするための手順書。
  • データ収集からデプロイまで、基本は7つのステップで構成される。
  • データ品質の確保と目的の明確化が成功の分かれ道。
  • 適切な評価指標でモデルの真の実力を見極める。
  • まずは簡単な例からでも、実際に手を動かしてみるのが上達への近道。

モデル学習のフローを理解することは、AIという強力な道具を使いこなし、世の中に新しい価値を生み出すための、まさに最初の、そして最も土台となる一歩です。

難しそうだと敬遠せずに、まずは小さな一歩から踏み出してみてください。

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リモートワークでエンジニア兼Webディレクターとして活動しています。プログラミングやAIなど、日々の業務や学びの中で得た知識や気づきをわかりやすく発信し、これからITスキルを身につけたい人にも役立つ情報をお届けします。 note → https://note.com/yurufuri X → https://x.com/mnao111

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