【Java入門】カプセル化とは?メリットから書き方までやさしく解説!

2025年8月19日火曜日

Java

この記事では、Javaのカプセル化の基本からメリット、そして具体的な書き方まで、初心者の方にも分かりやすく解説を進めます。

読み終える頃には、コードの安全性を高めるための重要な考え方が身についているはずです。

この記事で学べること

  • カプセル化の基本的な考え方
  • Javaでカプセル化が必要とされる理由
  • getter/setterを使った具体的な実装方法
  • より実践的なカプセル化のテクニック

Javaのカプセル化とは?

ここでは、Javaにおけるカプセル化の基礎知識を解説します。

オブジェクト指向の重要な柱の一つであるカプセル化を、身近な例を交えながらその目的と役割を明らかにしていきます。

  • カプセル化の目的は「隠す」こと
  • オブジェクト指向におけるカプセル化の位置づけ

カプセル化の目的は「隠す」こと

カプセル化とは、関連するデータ(フィールド)と、そのデータを操作する処理(メソッド)を、一つのまとまり(クラス)にして、外部から直接データにアクセスできないように隠す仕組みです。

例えるなら、自動販売機が分かりやすいでしょう。
私たちは、お金を入れてボタンを押せば、欲しいジュースが出てくることを知っています。

しかし、内部でどのような仕組みでお金が計算され、ジュースが選ばれて出てくるのかを気にする必要はありません。

このように、必要な操作だけを公開し、内部の複雑な仕組みを隠すことを情報隠蔽と呼び、カプセル化の重要な目的となっています。

【自動販売機のイメージ】

  +---------------------------------+
  |        [ 操作パネル ]           |  <-- 公開されている部分 (public)
  |  +------+  +----------------+   |
  |  | 投入口|  |   商品ボタン   |   |
  |  +------+  +----------------+   |
  +---------------------------------+
  |        [ 内部の仕組み ]         |  <-- 隠されている部分 (private)
  |                                 |
  |   - お金の計算ロジック          |
  |   - 在庫管理システム            |
  |   - 商品の搬出機構              |
  |                                 |
  +---------------------------------+

オブジェクト指向におけるカプセル化の位置づけ

Javaをはじめとするオブジェクト指向プログラミング言語には、一般的に3つの主要な要素があります。

カプセル化はその中の一つで、他の要素と密接に関わりながら、ソフトウェアの品質を高める役割を担います。

オブジェクト指向の三大要素
要素 概要
カプセル化 データと処理をまとめ、中身を隠すこと
継承 クラスの性質(フィールドやメソッド)を引き継ぐ仕組み
ポリモーフィズム(多態性) 同じ名前のメソッドでも、オブジェクトの種類によって異なる動作をする仕組み

カプセル化は、これらの土台となる非常に重要な考え方です。

まずはカプセル化をしっかり理解することが、オブジェクト指向マスターへの第一歩となります。

なぜJavaにカプセル化は必要なの?3つのメリット

この章では、Javaプログラミングでカプセル化を適用することで得られる、3つの大きなメリットを解説します。

なぜ一手間かけてデータを隠す必要があるのか、その理由が分かれば、カプセル化の重要性をより深く理解できるでしょう。

  • メリット1:安全性が高まる(データの保護)
  • メリット2:プログラムの変更が楽になる(保守性)
  • メリット3:部品として使い回せる(再利用性)

メリット1:安全性が高まる(データの保護)

カプセル化の最大のメリットは、意図しない値がデータに設定されるのを防ぎ、プログラム全体の安全性を高める点です。

例えば、会員の年齢を管理するプログラムがあったとします。
もし年齢のデータ(フィールド)が外部から直接アクセス可能だと、マイナスの値や現実的でない数値(例: 200歳)が設定されてしまうかもしれません。

カプセル化を用いると、値を設定する専用の入口(メソッド)を用意し、そこで「0歳未満の値は設定できない」といったチェック処理を入れられます。
これにより、データが常に正しい状態に保たれるようになります。

カプセル化によるデータの保護

データをprivateで隠し、決められたpublicのメソッド経由でしかアクセスできないように制限します。
このメソッド内で不正な値のチェックを行うことで、オブジェクトの状態を常に正常に保つことが可能になります。これを「オブジェクトの不整合を防ぐ」と言います。

メリット2:プログラムの変更が楽になる(保守性)

カプセル化は、将来の仕様変更に強いプログラムを作る上で非常に役立ちます。

先ほどの年齢の例で、「年齢を直接保存するのではなく、生年月日から自動計算する」という仕様変更があったとしましょう。

もしカプセル化されていなければ、年齢フィールドを参照している全ての箇所を探し出し、修正する必要があり、大変な作業になります。

一方でカプセル化されていれば、年齢を返すメソッドの内部処理を変更するだけで済み、外部のプログラムに影響を与えません。

このように、変更箇所をクラス内に限定できるため、修正が容易でミスの少ないメンテナンスが可能となるのです。

メリット3:部品として使い回せる(再利用性)

カプセル化されたクラスは、内部構造を気にすることなく、安全な「部品」として様々な場所で使い回せます。

例えば、適切にカプセル化された「会員クラス」があれば、会員登録機能、会員情報表示機能、購入履歴管理機能など、多くの場面で安心して利用できます。

これは、自動販売機がどこに設置されても同じように使えるのと同じ理屈です。
内部の仕組みが隠されているため、利用者は公開された操作方法だけを知っていればよく、プログラム全体の開発効率が大幅に向上します。

Javaでカプセル化を実装する基本ステップ

ここでは、実際にJavaのコードでカプセル化をどのように実装するのか、基本的な手順を解説します。

アクセス修飾子やgetter/setterといった重要なキーワードが登場しますが、一つずつ丁寧に見ていきましょう。

  • STEP1:フィールドを `private` で宣言する
  • STEP2:`public` な `getter` メソッドを定義する
  • STEP3:`public` な `setter` メソッドを定義する
  • 【コード例】カプセル化された `User` クラス

STEP1:フィールドを `private` で宣言する

カプセル化の第一歩は、外部から隠したいフィールドにアクセス修飾子 `private` を付けることです。

`private` が付いたフィールドは、そのクラスの内部からしかアクセスできなくなります。
これにより、他のクラスから直接値を読み書きされるのを防ぎます。

public class User {
    // private修飾子を付けて、外部からの直接アクセスを禁止する
    private String name;
    private int age;
}

STEP2:`public` な `getter` メソッドを定義する

`private` なフィールドの値を外部から取得できるように、専用のメソッドを用意します。
このメソッドを`getter`(ゲッター)と呼びます。

getterは、アクセス修飾子 `public` を付け、`getフィールド名()` という命名規則で作成するのが一般的です。
(フィールド名が大文字で始まる点に注意しましょう)

public class User {
    private String name;
    private int age;

    // nameフィールドの値を取得するためのgetter
    public String getName() {
        return this.name;
    }

    // ageフィールドの値を取得するためのgetter
    public int getAge() {
        return this.age;
    }
}

STEP3:`public` な `setter` メソッドを定義する

次に、`private` なフィールドに値を設定するための専用メソッドを用意します。
このメソッドを`setter`(セッター)と呼びます。

setterも `public` を付け、`setフィールド名(引数)` という命名規則で作ります。
setterの内部で、引数として渡された値が妥当かどうかをチェックできます。

public class User {
    private String name;
    private int age;

    // ... getterは省略 ...

    // nameフィールドに値を設定するためのsetter
    public void setName(String name) {
        this.name = name;
    }

    // ageフィールドに値を設定するためのsetter
    public void setAge(int age) {
        // 不正な値が設定されないようにチェックする
        if (age >= 0) {
            this.age = age;
        } else {
            System.out.println("エラー: 年齢には0以上の値を設定してください。");
        }
    }
}

【コード例】カプセル化された `User` クラス

これまでのステップをまとめた、カプセル化された `User` クラスとその利用例です。
setterを通じて不正な値(-25)を設定しようとしても、チェック機能によってブロックされている様子が確認できます。

// User.java (カプセル化されたクラス)
public class User {
    private String name;
    private int age;

    public String getName() {
        return this.name;
    }

    public void setName(String name) {
        this.name = name;
    }

    public int getAge() {
        return this.age;
    }

    public void setAge(int age) {
        if (age >= 0) {
            this.age = age;
        } else {
            // 不正な値の場合は処理を中断し、メッセージを表示
            System.out.println("[ERROR] 年齢には正の値を指定してください。入力値: " + age);
        }
    }
}

// Main.java (Userクラスを利用するクラス)
public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        User user1 = new User();
        
        // setterを使って安全に値を設定
        user1.setName("山田太郎");
        user1.setAge(30);
        
        // getterを使って値を取得
        System.out.println("名前: " + user1.getName()); // 名前: 山田太郎
        System.out.println("年齢: " + user1.getAge());   // 年齢: 30
        
        System.out.println("-----");
        
        User user2 = new User();
        user2.setName("佐藤花子");
        // 不正な値を設定しようと試みる
        user2.setAge(-25);
        
        System.out.println("名前: " + user2.getName()); // 名前: 佐藤花子
        // 年齢は初期値の0のまま
        System.out.println("年齢: " + user2.getAge());   // 年齢: 0
    }
}

実行結果:

名前: 山田太郎
年齢: 30
-----
[ERROR] 年齢には正の値を指定してください。入力値: -25
名前: 佐藤花子
年齢: 0

Javaのカプセル化を使いこなすための7つのテクニック

基本的なカプセル化を理解したら、次はより実践的なテクニックを学びましょう。

これらのテクニックを習得することで、より柔軟で堅牢なプログラムを設計できるようになります。単にgetter/setterを用意するだけでなく、その中で何を行うかがコードの品質を左右します。

  1. setterで不正な値をチェックする(バリデーション)
  2. 読み取り専用フィールドを作る(setterを作らない)
  3. 書き込み専用フィールドを作る(getterを作らない)
  4. 不変(Immutable)なクラスを作成する
  5. コンストラクタで初期値を設定する
  6. IDEでgetter/setterを自動生成する
  7. Lombokライブラリでコードを簡潔にする

テクニック1:setterで不正な値をチェックする(バリデーション)

setterの最も重要な役割は、フィールドに値を設定する前の「門番」となることです。

引数として渡された値が、そのデータとして妥当かどうかを検証(バリデーション)することで、オブジェクトが不正な状態になるのを未然に防ぎます。

例えば、ユーザー名が空でないか、メールアドレスが基本的な形式を満たしているか、といったチェックを実装します。

public class User {
    private String username;
    private String email;

    // ユーザー名を設定するsetter
    public void setUsername(String username) {
        // nullや空文字でないかをチェック
        if (username != null && !username.isEmpty()) {
            this.username = username;
        } else {
            System.out.println("エラー: ユーザー名は空にできません。");
        }
    }
    
    // メールアドレスを設定するsetter
    public void setEmail(String email) {
        // 簡単な形式チェック(@が含まれているか)
        if (email != null && email.contains("@")) {
            this.email = email;
        } else {
            System.out.println("エラー: 不正なメールアドレス形式です。");
        }
    }
    // ... getterは省略 ...
}

不正な値が渡された場合の対処法には、主に3つのパターンがあります。
システムの要件に応じて適切な方法を選択することが大切です。

不正な値への対処法
対処法 説明 長所・短所
何もしない(無視) 不正な値の場合、フィールドを更新しない。 手軽だが、呼び出し元が失敗に気づきにくい。
デフォルト値を設定 安全な初期値や決められた値を設定する。 データが不整合にはならないが、意図した値とは異なる。
例外をスローする `IllegalArgumentException`などを発生させ、呼び出し元にエラーを明確に通知する。 最も厳格で安全。呼び出し元でのエラー処理が必須になる。

テクニック2:読み取り専用フィールドを作る(setterを作らない)

一度値が設定された後、変更されては困るデータがあります。例えば、ユーザーIDや注文番号、システムのバージョン情報などです。

このようなデータは、setterメソッドを作成しないことで、外部からの変更を完全に防ぐ「読み取り専用」にできます。

さらに `final` キーワードをフィールドに付与すると、コンストラクタで一度初期化された後は、クラス内部からでさえ変更が不可能になり、より強固な読み取り専用フィールドとなります。

public class Order {
    // finalを付けて変更不可にし、setterも用意しない
    private final int orderId;
    private String itemName;

    // コンストラクタで一度だけ値を設定する
    public Order(int orderId, String itemName) {
        this.orderId = orderId;
        this.itemName = itemName;
    }

    // orderIdのgetterのみを用意
    public int getOrderId() {
        return this.orderId;
    }

    // itemNameは変更可能にする
    public String getItemName() {
        return this.itemName;
    }

    public void setItemName(String itemName) {
        this.itemName = itemName;
    }
}

テクニック3:書き込み専用フィールドを作る(getterを作らない)

データの書き込みは許可する一方で、その値を外部から安易に読み取らせたくないケースもあります。

代表的な例はパスワードです。パスワードを設定・変更する機能は必要ですが、設定されたパスワード文字列をそのまま取得できるメソッドはセキュリティリスクになり得ます。

このような場合は、getterメソッドを作成しないことで「書き込み専用」のフィールドを実現します。

setterの内部で、受け取ったパスワードをハッシュ化(元の文字列に戻せないように変換)してからフィールドに保存する処理を加えれば、さらに安全性が高まります。

public class Account {
    private String userId;
    // パスワードのハッシュ値を保存するフィールド
    private String passwordHash;

    // パスワードを設定する書き込み専用のsetter
    public void setPassword(String rawPassword) {
        if (rawPassword != null && rawPassword.length() >= 8) {
            // ここで本来は安全なハッシュ化処理を行う
            this.passwordHash = "hashed_" + rawPassword; 
            System.out.println("パスワードを設定しました。");
        } else {
            System.out.println("エラー: パスワードは8文字以上で設定してください。");
        }
    }
    
    // passwordHashのgetterは作成しない
    
    // ... userIdのgetter/setterは省略 ...
}

テクニック4:不変(Immutable)なクラスを作成する

不変(Immutable)なクラスとは、一度インスタンスを生成すると、その内部状態が一切変わらないクラスのことです。

Java標準の `String` や `Integer` がこの代表例です。

不変クラスは、状態が変わらないという保証があるため、プログラムの色々な箇所で安全に共有して使うことができます。不変クラスを作るには、以下のルールを守るのが一般的です。

  • クラスを `final` にして継承できないようにする。
  • 全てのフィールドを `private final` にする。
  • setterメソッドを提供しない。
  • フィールドを初期化するコンストラクタを用意する。
  • フィールドに可変オブジェクト(`Date`など)を含む場合、コンストラクタやgetterでコピーを返す(防御的コピー)。
// 通貨と金額を持つ不変クラスの例
public final class Money {
    private final String currency;
    private final int amount;
    
    public Money(String currency, int amount) {
        this.currency = currency;
        this.amount = amount;
    }
    
    public String getCurrency() {
        return this.currency;
    }
    
    public int getAmount() {
        return this.amount;
    }

    // 金額を加算した新しいインスタンスを返すメソッド
    public Money add(Money other) {
        if (!this.currency.equals(other.currency)) {
            // 通貨が違う場合はエラー(実際には例外をスローすべき)
            return null; 
        }
        // 自分自身の状態は変えず、新しいオブジェクトを生成して返す
        return new Money(this.currency, this.amount + other.amount);
    }
}

テクニック5:コンストラクタで初期値を設定する

オブジェクトが生成された時点で、必ず値を持っていなければならないフィールドがあります。
例えば、「IDがない従業員」や「名前がないユーザー」は、システム上存在してはならない状態かもしれません。

そのような場合、コンストラクタの引数で必須データを受け取り、オブジェクトが生成されると同時に有効な状態を保証します。

一般的に、「必須項目はコンストラクタで設定」「任意項目はsetterで設定」というように使い分けると、分かりやすく安全なクラス設計になります。

public class Product {
    private final String productCode; // 必須項目 (変更不可)
    private String productName;       // 必須項目 (変更可能)
    private String description;       // 任意項目

    // 必須項目を引数に取るコンストラクタ
    public Product(String productCode, String productName) {
        this.productCode = productCode;
        this.productName = productName;
    }

    // 任意項目であるdescriptionのsetter
    public void setDescription(String description) {
        this.description = description;
    }
    
    // ... getterは省略 ...
}

テクニック6:IDEでgetter/setterを自動生成する

品質の高いコードを書くためにはカプセル化が重要ですが、フィールドが増えるたびに手作業でgetter/setterを書くのは非効率です。

EclipseやIntelliJ IDEAのような統合開発環境(IDE)には、フィールド定義からgetter/setterの定型コードを自動で生成する強力な機能があります。

この機能を活用することで、開発速度が向上するだけでなく、メソッド名のタイプミスといった単純なヒューマンエラーを防ぐことができます。

例えばEclipseでは、フィールドを定義した後にエディタ上で右クリックし、「ソース」メニューから「Getter および Setter の生成」を選択するだけで、対象フィールドのメソッドが自動的に挿入されます。

テクニック7:Lombokライブラリでコードを簡潔にする

Project Lombokは、Javaの定型コードをアノテーションによって自動生成してくれる非常に便利なライブラリです。

getter/setterはもちろん、コンストラクタや `toString()` メソッドなども、アノテーションを一行追加するだけで済みます。

これにより、クラスの本来の目的であるデータとその振る舞いに集中でき、コードの可読性が劇的に向上します。

Lombok導入前 (Before)

public class MemberBefore {
    private Long id;
    private String name;
    private String email;

    public Long getId() {
        return id;
    }

    public void setId(Long id) {
        this.id = id;
    }

    public String getName() {
        return name;
    }

    public void setName(String name) {
        this.name = name;
    }

    // ... emailのgetter/setterも続く ...
}

Lombok導入後 (After)

import lombok.Getter;
import lombok.Setter;

@Getter
@Setter
public class MemberAfter {
    private Long id;
    private String name;
    private String email;
}

`@Data` というアノテーションを使えば、getter, setter, `toString()`, `equals()` などがまとめて生成され、さらにコードが短くなります。

ただし、Lombokを利用するにはライブラリをプロジェクトに追加し、IDEに専用のプラグインをインストールする必要がある点には注意しましょう。

Javaのカプセル化に関するよくある質問

ここでは、Javaのカプセル化を学ぶ上で初心者が抱きやすい疑問について、Q&A形式でお答えします。
より深い理解の助けとなるでしょう。

  • Q1. フィールドを全部publicにするのはダメ?
  • Q2. カプセル化と「情報隠蔽」は何が違う?
  • Q3. getter/setterばかりでコードが長くなるのは非効率では?

Q1. フィールドを全部publicにするのはダメ?

結論から言うと、フィールドを `public` にして外部に公開することは、特別な理由がない限り避けるべきです。

フィールドを `public` にすると、どこからでも自由に値を書き換えられる状態になります。
これは、カプセル化がもたらす「安全性の確保」や「保守性の向上」といったメリットを全て放棄することを意味します。

意図しない値が設定されたり、将来の仕様変更で修正箇所が広範囲に及んだりする原因となるため、原則としてフィールドは `private` にしましょう。

Q2. カプセル化と「情報隠蔽」は何が違う?

この2つは非常によく似た概念で、しばしば同じ意味で使われることもあります。

厳密には、「カプセル化」がデータと処理を一つのクラスにまとめることそのものを指し、「情報隠蔽」はそのカプセル化を用いて、外部から見せたくない情報を隠す設計方針を指します。

つまり、カプセル化は情報隠蔽を実現するための「手段」と考えると分かりやすいでしょう。

・カプセル化:データとロジックをカプセル(クラス)に詰める行為。
・情報隠蔽:カプセルの内部を隠し、外部には必要なものだけを見せる考え方。

Javaの公式ドキュメントでも、アクセス制御の重要性が解説されています。
参考:Controlling Access to Members of a Class (The Java™ Tutorials)

Q3. getter/setterばかりでコードが長くなるのは非効率では?

確かに、フィールドごとにgetter/setterを用意するとコードの行数は増えます。
しかし、一時的なコーディングの手間よりも、長期的な保守性や安全性のメリットの方がはるかに大きいと考えられています。

前述の通り、IDEの自動生成機能やLombokライブラリを利用することで、記述の手間は大幅に削減できます。
コードの簡潔さだけを追い求めるのではなく、プログラム全体の品質を維持する設計を心がけることが重要です。

Javaの学習をさらに深めたい方には、『スッキリわかるJava入門 第4版』がおすすめです。
カプセル化を含むオブジェクト指向の概念が、豊富なイラストと共に丁寧に解説されており、初心者でも挫折しにくい一冊です。

まとめ

この記事では、Javaにおけるカプセル化の基本から、その重要性、具体的な実装方法、そして実践的なテクニックまでを解説しました。

最後に、内容を振り返ってみましょう。

  • カプセル化の重要ポイントおさらい
  • 次のステップ:継承とポリモーフィズムへ

カプセル化の重要ポイントおさらい

カプセル化は、コードの安全性を高め、将来の変更に強くするための基本的ながら非常に強力な設計手法です。

ポイントは以下の通りです。

  • フィールドは `private` で隠す。
  • 外部とのやり取りは `public` なメソッド(getter/setter)を通じて行う。
  • setterでは不正な値が入らないようにチェックする。
  • カプセル化により、保守性・安全性・再利用性が向上する。

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リモートワークでエンジニア兼Webディレクターとして活動しています。プログラミングやAIなど、日々の業務や学びの中で得た知識や気づきをわかりやすく発信し、これからITスキルを身につけたい人にも役立つ情報をお届けします。 note → https://note.com/yurufuri X → https://x.com/mnao111

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