Javaのインクリメント・デクリメント|前置・後置の違いから実践的な使い方まで徹底解説

2025年8月13日水曜日

Java

プログラミング学習で多くの人がつまずきやすい、Javaのインクリメントとデクリメント。特に、変数の前に置く「前置」と後ろに置く「後置」の違いは、混乱しやすいポイントです。

この記事では、インクリメント演算子(++)とデクリメント演算子(--)の基本から、最も重要な前置・後置の違い、そして実践的な使い方まで、サンプルコードを交えて分かりやすく解説します。

この記事で学べること

  • インクリメント・デクリメントの基本的な意味と書き方
  • 誰もが悩む「前置(++i)」と「後置(i++)」の明確な違い
  • for文やwhile文での実践的な活用方法
  • コードを書く上で知っておきたい7つの注意点
  • 関連する便利な演算子(複合代入演算子)

Javaのインクリメント・デクリメントとは?

まずは、インクリメントとデクリメントがどのようなものかを理解しましょう。これは変数の値を「1」だけ操作する、プログラミングの基本的な演算子です。

  • インクリメントは「1増やす」魔法の言葉
  • デクリメントは「1減らす」おまじない
  • なぜインクリメント・デクリメントが必要なの?

インクリメントは「1増やす」

インクリメント(increment)とは、変数の値を「1」だけ増やす操作を指します。
演算子には「++」(プラス記号2つ)を使い、変数の値を簡単に更新できます。

// 変数numの値を1増やす
int num = 10;
num++; // これでnumの値は11になる

デクリメントは「1減らす」

デクリメント(decrement)はインクリメントの逆で、変数の値を「1」だけ減らす操作を意味します。
演算子には「--」(マイナス記号2つ)を用いて、値を効率的に減算可能です。

// 変数countの値を1減らす
int count = 5;
count--; // これでcountの値は4になる

なぜインクリメント・デクリメントが必要なの?

「`num = num + 1;` と書けば良いのでは?」と思うかもしれません。もちろんそれでも間違いではありません。

しかし、インクリメント・デクリメントを使うと、コードがより短く、スッキリします。
特にループ処理などで変数を繰り返し更新する場面では、この簡潔さがコード全体の可読性を高めます。

// 同じ意味の処理
num = num + 1; // 少し長い
num++;         // 短くて分かりやすい

Javaのインクリメントとデクリメントの基本的な使い方

ここでは、インクリメント演算子(++)とデクリメント演算子(--)の基本的な書き方と、実際のコード例を見ていきます。

  • インクリメント演算子「++」の書き方
  • 実際のコードで見てみよう(インクリメント)
  • デクリメント演算子「--」の書き方
  • 実際のコードで見てみよう(デクリメント)

インクリメント演算子「++」の書き方

インクリメント演算子「++」は、対象となる変数の前か後ろに付けます。
変数の値を1増やす、というシンプルな機能を持っています。

実際のコードで見てみよう(インクリメント)

整数型の変数`score`を用意し、その値をインクリメントしてみましょう。

public class IncrementExample {
    public static void main(String[] args) {
        int score = 80;
        System.out.println("元のスコア: " + score); // 実行結果: 80

        // スコアを1増やす
        score++; 
        
        System.out.println("インクリメント後のスコア: " + score); // 実行結果: 81
    }
}

デクリメント演算子「--」の書き方

デクリメント演算子「--」も同様に、対象となる変数の前か後ろに付けて使用します。
変数の値を1減らす機能があります。

実際のコードで見てみよう(デクリメント)

今度は在庫数を管理する変数`stock`をデクリメントする例です。

public class DecrementExample {
    public static void main(String[] args) {
        int stock = 10;
        System.out.println("現在の在庫数: " + stock); // 実行結果: 10

        // 在庫を1減らす
        stock--; 
        
        System.out.println("デクリメント後の在庫数: " + stock); // 実行結果: 9
    }
}

Javaのインクリメント・デクリメント、前置と後置の違い

ここが最も重要なポイントです。インクリメント・デクリメントには、演算子を前に置く「前置」と、後ろに置く「後置」があり、挙動が異なります。この違いをしっかり理解しましょう。

  • 前置インクリメント(++i)とは?
  • 後置インクリメント(i++)とは?
  • 【図解】前置と後置で結果はどう変わる?コードで比較
  • デクリメントも同じ!前置(--i)と後置(i--)の違い

前置インクリメント(++i)とは?

前置インクリメントは、`++i` のように演算子を変数の前に置きます。
まず変数の値を1増やし、その後に式全体の値が評価されます。つまり「先に増やして、から使う」と覚えると分かりやすいでしょう。

後置インクリメント(i++)とは?

後置インクリメントは、`i++` のように演算子を変数の後ろに置きます。
まず現在の変数の値で式全体を評価し、その後に変数の値を1増やします。こちらは「先に使って、から増やす」という順番になります。

【重要】前置と後置の挙動の違い

この違いは、インクリメントした結果を別の変数に代入する時に顕著になります。
単に `i++;` のように単独で使う場合は、前置でも後置でも結果は同じです。しかし、式の中に組み込む場合は注意が必要です。


前置と後置で結果はどう変わる?コードで比較

言葉だけでは分かりにくいので、実際のコードで比較してみます。

前置(++a)の場合

int a = 5;

// (1) a をインクリメント (aが6になる)
// (2) a の値(6)を b に代入
int b = ++a; 

// 【b には、増やした後の値が入る】
    [a: 5]
       ↓ ++a
    [a: 6] -----> [b: 6]

後置(a++)の場合

int a = 5;

// (1) a の現在の値(5)を b に代入
// (2) a をインクリメント (aが6になる)
int b = a++; 

// 【b には、増やす前の値が入る】
    [a: 5] -----> [b: 5]
       ↓ a++
    [a: 6]

この違いを表にまとめると以下のようになります。

種類 コード例 最終的なaの値 最終的なbの値
前置
int a = 5;
int b = ++a;
6 6
後置
int a = 5;
int b = a++;
6 5

デクリメントも同じ!前置(--i)と後置(i--)の違い

デクリメントもインクリメントと全く同じ考え方です。
前置デクリメント(`--i`)は「先に減らしてから使う」、後置デクリメント(`i--`)は「先に使ってから減らす」と覚えておきましょう。

Javaのインクリメントとデクリメントはどんな時に使うの?

理論は分かりましたが、実際にどのような場面でこれらの演算子が活躍するのでしょうか。ここでは代表的な3つのユースケースを紹介します。

  • 最もよく見る!forループでの使い方
  • whileループでのカウンター制御
  • 配列の要素を順番に処理する

最もよく見る!forループでの使い方

Javaプログラミングでインクリメントが最も頻繁に使われるのが`for`ループです。
ループの繰り返し回数を数えるカウンター変数(`i`など)を1ずつ増やすために、後置インクリメント(`i++`)がよく用いられます。

// 0から9まで10回ループする
for (int i = 0; i < 10; i++) {
    System.out.println("現在のカウント: " + i);
}

この場合、`i++` を `++i` に変えてもループの動作は変わりません。しかし、慣習的に`i++`が使われることが多いです。

whileループでのカウンター制御

`while`ループでもカウンター変数の制御にインクリメントやデクリメントが使われます。
例えば、特定の回数だけ処理を繰り返したい場合などに便利です。

int count = 5;
while (count > 0) {
    System.out.println("残り" + count + "回");
    count--; // 1ずつ減らしていく
}
System.out.println("ループ終了");

配列の要素を順番に処理する

配列の各要素に順番にアクセスする際、インデックス(添え字)を1ずつ増やしていくのにインクリメントが役立ちます。

String[] fruits = {"りんご", "ばなな", "みかん"};
int index = 0;
while (index < fruits.length) {
    System.out.println(fruits[index]);
    index++; // 次の要素を指すためにインデックスを増やす
}

Javaのインクリメントとデクリメントを使う上での注意点7つ

便利に見えるインクリメントとデクリメントですが、使い方を誤るとバグの原因になります。安全なコードを書くために、以下の7つの点に注意しましょう。

  • 1. 一つの式に多用しない
  • 2. 副作用を常に意識する
  • 3. final変数には使えない
  • 4. 浮動小数点数での挙動
  • 5. 文字型(char)にも使える?
  • 6. 読みやすさを最優先
  • 7. 他の演算子との優先順位を理解する

1. 一つの式に多用しない

`int c = a++ * ++b;` のような書き方は避けるべきです。式が複雑になり、処理の順序が非常に分かりにくくなります。コードは簡潔さも大事ですが、それ以上に可読性(読みやすさ)が重要です。

2. 副作用を常に意識する

インクリメント・デクリメントは、変数の値を変更する「副作用」を持ちます。特に前置と後置の違いを理解していないと、意図しないタイミングで値が変わり、予期せぬバグにつながります。

3. final変数には使えない

`final`キーワードが付いた変数は「定数」となり、一度初期化すると値を変更できません。そのため、インクリメントやデクリメントを行おうとするとコンパイルエラーになります。

4. 浮動小数点数での挙動

インクリメント・デクリメントは`double`型や`float`型のような浮動小数点数にも使えます。ただし、浮動小数点数は誤差を含む可能性があるため、厳密な計算が求められる場面では注意が必要です。

5. 文字型(char)にも使える?

Javaの`char`型は内部的に数値(Unicode)として扱われるため、インクリメント・デクリメントが可能です。例えば `'A'++` は `'B'` になります。あまり使う機会はありませんが、知識として知っておくと良いでしょう。

6. 読みやすさを最優先

最も伝えたい注意点は「読みやすさを優先すること」です。トリッキーな書き方で数文字短くするよりも、誰が見ても処理の流れが分かるコードを書く方が、長期的に見てメンテナンスしやすく、良いコードと言えます。

7. 他の演算子との優先順位を理解する

インクリメント・デクリメントは、算術演算子(`*`, `/` など)よりも優先順位が高いです。しかし、これも複雑な式を避けることで、優先順位を気にする必要がなくなります。


もっとコードを簡潔に!Javaのインクリメント・デクリメントと合わせて覚えたい演算子

「1」ずつではなく、もっと大きな数で変数を操作したい場合もあります。その際に便利な「複合代入演算子」を紹介します。

  • 複合代入演算子とは?
  • インクリメントと「+= 1」は同じ?違う?
  • どんな時に使い分けるべき?

複合代入演算子とは?

複合代入演算子は、代入と他の演算を組み合わせたものです。`x = x + 5;` を `x += 5;` のように短く書けます。

演算子 同じ意味の式
+= `x += 5;` `x = x + 5;`
-= `x -= 3;` `x = x - 3;`
*= `x *= 2;` `x = x * 2;`
/= `x /= 4;` `x = x / 4;`

インクリメントと「+= 1」は同じ?違う?

`i++` と `i += 1` は、ほとんどの場合で同じ結果をもたらします。変数の値を1増やす、という点では同じ挙動です。
厳密には、内部的な処理(バイトコード)がわずかに異なりますが、初心者のうちは同じものと考えて問題ありません。

どんな時に使い分けるべき?

使い分けの基準はシンプルです。

  • 1だけ増減させたい時: インクリメント(`++`) or デクリメント(`--`)を使う
  • 2以上増減させたい時: 複合代入演算子(`+=`, `-=` など)を使う

このルールに従うと、コードの意図が明確になります。

Javaのインクリメントとデクリメントをマスターするためのおすすめ学習法

インクリメントとデクリメントの理解をさらに深めるための学習方法を紹介します。知識を定着させるには、実際に手を動かすことが一番です。

  • まずは公式ドキュメントで一次情報を確認しよう
  • おすすめのオンライン学習サイトで実践
  • 手元に置きたい定番の入門書

まずは公式ドキュメントで一次情報を確認しよう

最も正確で信頼できる情報は、Javaを提供しているOracleの公式ドキュメントです。

英語ですが、基本的な演算子に関する説明が記載されています。正確な知識を得るために一度は目を通しておくと良いでしょう。

Java™ Tutorials - Assignment, Arithmetic, and Unary Operators

おすすめのオンライン学習サイトで実践

Progateやドットインストールといったオンライン学習サイトでは、ブラウザ上で実際にコードを書きながら学習を進められます。インクリメント・デクリメントを使った練習問題も用意されているので、手を動かして挙動を確認するのに最適です。

手元に置きたい定番の入門書

体系的にJavaを学びたいなら、書籍での学習も効果的です。

特に「スッキリわかるJava入門」は、初心者がつまずきやすい点を丁寧に解説しており、非常に評価が高い一冊です。インクリメント・デクリメントについても、分かりやすい図解と共に解説されています。

まとめ:Javaのインクリメントとデクリメントを使いこなしてコードをレベルアップしよう

この記事では、Javaのインクリメントとデクリメントについて詳しく解説しました。最後に要点を振り返ります。

  • インクリメント(++)は1増やし、デクリメント(--)は1減らす操作
  • 前置(++i)は「先に増やして使う」、後置(i++)は「先に使ってから増やす」
  • `for`ループのカウンター変数の更新で頻繁に使われる
  • 複雑な式での使用は避け、コードの読みやすさを優先することが大切

インクリメントとデクリメントは、Javaプログラミングの基本であり、効率的なコードを書く上で欠かせない要素です。

最初は少し戸惑うかもしれませんが、この記事を参考に実際のコードで試しながら、ぜひ使い方に慣れていってください。

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リモートワークでエンジニア兼Webディレクターとして活動しています。プログラミングやAIなど、日々の業務や学びの中で得た知識や気づきをわかりやすく発信し、これからITスキルを身につけたい人にも役立つ情報をお届けします。 note → https://note.com/yurufuri X → https://x.com/mnao111

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