Javaのswitch文が驚くほど分かる!if文との違いや7つの実践テクニック

2025年8月13日水曜日

Java

Javaのswitch文の書き方で迷っていませんか?if文との違いがよく分からなかったり、もっと効率的に書く方法を知りたかったりするかもしれません。

実は、Javaのバージョンアップに伴いswitch文は進化しており、古い書き方だけを覚えていると損をしてしまう可能性があります。

この記事では、Java switch文の基本的な使い方から、if文との明確な使い分け、そしてJava 14以降で使えるようになったモダンな書き方まで、豊富なサンプルコードと共に解説します。読み終える頃には、switch文への苦手意識がなくなっているはずです。

この記事で学べること

  • Java switch文の基本的な構文ルール
  • if文とswitch文の正しい使い分け
  • コードを簡潔にする7つの実践テクニック
  • Java 14以降の新しいswitch式(アロー構文)の使い方

Javaのswitch文とは?

ここでは、Javaのswitch文がどのような役割を持つ構文なのか、その概要を解説します。たくさんの選択肢から1つの処理を選ぶ、条件分岐の仕組みを掴みましょう。

  • switch文は「条件分岐」の司令塔
  • たくさんの選択肢から1つを選ぶのが得意
  • if文との使い分けがカギ

switch文は「条件分岐」の司令塔

プログラミングにおける「条件分岐」とは、ある条件に応じて処理の流れを変えることを指します。Javaのswitch文は、まさにその条件分岐を行うための構文の一つです。

特定の値に基づいて、実行する処理を振り分ける司令塔のような役割を果たします。例えば、信号機の色に応じて「進む」「止まる」「注意する」といった動作を切り替えるイメージです。

たくさんの選択肢から1つを選ぶのが得意

switch文が特に得意なのは、1つの変数や式の値が「何であるか」を判定し、多数の選択肢の中から一致する処理を実行することです。

自動販売機でボタンを押した時に、そのボタンに対応した飲み物が出てくる仕組みによく似ています。ボタン(値)に応じて、出てくる飲み物(処理)が決まります。

if文との使い分けがカギ

同じ条件分岐の構文としてif文がありますが、switch文とは得意なことが異なります。
if文は「Aより大きい」や「BとCが両方真である」といった複雑な条件式を扱えるのに対し、switch文は特定の値との一致を判定するシンプルな分岐に向いています。

この2つの構文を適切に使い分けることが、読みやすく効率的なコードを書くための第一歩となります。

Javaのswitch文の基本的な書き方

ここでは、Java switch文を構成する基本的なキーワードと、その構文ルールを詳しく見ていきます。各要素の役割を一つずつ理解していきましょう。

  • 構文の全体像をチェック
  • switch(式):どの値を調べるか指定する
  • case 値:条件の候補を並べる
  • break:処理の終了宣言(最重要!)
  • default:どの条件にも合わなかった時の受け皿

構文の全体像をチェック

まずは、switch文の基本的な構造を確認しましょう。4つの主要なキーワードで構成されています。

// switch文の基本構造
switch (調べる変数や式) {
    case 値1:
        // 値1に一致した場合の処理
        break;
    case 値2:
        // 値2に一致した場合の処理
        break;
    default:
        // どの値にも一致しなかった場合の処理
        break;
}

この基本形を覚えることが、switch文をマスターする上で非常に重要です。


【switch文の処理の流れ】

  [開始]
    ↓
switch(変数)
    ├─ case 値1: → [処理1] → break → [終了]
    ├─ case 値2: → [処理2] → break → [終了]
    └─ default:  → [処理3] → break → [終了]

switch(式):どの値を調べるか指定する

switchの後のカッコ()には、判定の基準となる変数や式を記述します。
ここで指定した値と、後続のcaseで指定した値が比較されます。

Java 6までは整数型などが中心でしたが、Java 7以降は文字列(String)型も使用できるようになり、利便性が向上しました。

case 値:条件の候補を並べる

caseの後には、switchで指定した式の値と比較するための具体的な値を記述します。
switchの値とcaseの値が一致した場合、そのcaseに続く処理が実行されます。

caseは必要な数だけいくつでも並べることが可能です。

break:処理の終了宣言(最重要!)

breakは、そのcaseの処理が完了したことを示し、switch文全体の処理を終了させるための重要なキーワードです。

もしbreakを書き忘れると、条件に一致したcaseの後にある、次のcaseの処理まで実行されてしまいます。意図しない動作の原因となるため、絶対に忘れないようにしましょう。

default:どの条件にも合わなかった時の受け皿

defaultは、どのcaseの値にも一致しなかった場合に実行される処理を記述する場所です。
if文におけるelseのような役割を果たします。

必須ではありませんが、予期せぬ値が来た場合の処理を記述しておくことで、より安全なプログラムになります。

if文とどう違う?Javaのswitch文を使うべき場面

ここでは、よく似た機能を持つif文とswitch文の違いを明確にし、どちらを使うべきかの判断基準を示します。コードの見た目(可読性)と処理性能の観点から比較していきましょう。

  • コードの見た目(可読性)で比較してみよう
  • 処理の速さ(パフォーマンス)に違いは出る?
  • 結論!こんな時はswitch文を使おう

コードの見た目(可読性)で比較してみよう

例えば、曜日(1:月, 2:火, ..., 7:日)に応じて処理を分ける場合を考えます。

if-else if文で書くと、条件式が縦に長く連なり、少し読みにくく感じることがあります。

// if-else if文の例
int day = 3;
String dayName;

if (day == 1) {
    dayName = "月曜日";
} else if (day == 2) {
    dayName = "火曜日";
} else if (day == 3) {
    dayName = "水曜日";
} else {
    dayName = "不明";
}
System.out.println(dayName); // 出力: 水曜日

一方、Javaのswitch文を使うと、どの値の時にどの処理をするかという対応関係が明確になり、コードがスッキリします。

// switch文の例
int day = 3;
String dayName;

switch (day) {
    case 1:
        dayName = "月曜日";
        break;
    case 2:
        dayName = "火曜日";
        break;
    case 3:
        dayName = "水曜日";
        break;
    default:
        dayName = "不明";
        break;
}
System.out.println(dayName); // 出力: 水曜日

処理の速さ(パフォーマンス)に違いは出る?

一般的に、分岐の選択肢が3つ以上ある場合、switch文の方がif-else if文よりもパフォーマンスが良いとされています。

if文は条件を上から順に一つずつ比較しますが、switch文は内部で最適化が行われ、目的のcaseへ直接ジャンプするような動作をするため、高速に処理できる場合があります。

ただし、近年のJava実行環境は非常に賢いため、パフォーマンスの差が問題になるケースは稀です。基本的にはコードの読みやすさを優先して選ぶと良いでしょう。

結論!こんな時はswitch文を使おう

これまでの比較から、使い分けの基準を以下の表にまとめました。

場面 推奨する構文 理由
特定の値との一致で分岐(例: 信号の色、メニュー番号) switch文 コードがスッキリし、意図が明確になるため。
範囲指定(例: 点数が80点以上)や複雑な条件での分岐 if文 switch文では範囲指定や複雑な条件式を直接記述できないため。

この基準を覚えておけば、コーディングの際にどちらを使うか迷うことが少なくなります。

Javaのswitch文を使いこなすための7つの便利テクニック

ここでは、基本的な使い方から一歩進んで、Javaのswitch文をより便利に、そして効果的に使うための7つのテクニックを紹介します。コードを簡潔にしたり、特定の状況で役立つ書き方をマスターしましょう。

  • テクニック1:複数のcaseをまとめてスッキリ書く
  • テクニック2:あえてbreakしない「フォールスルー」
  • テクニック3:メソッド呼び出しで処理をまとめる
  • テクニック4:文字列(String)や列挙型(enum)で使う
  • テクニック5:nullチェックでエラーを未然に防ぐ
  • テクニック6:switch文をネスト(入れ子)にする
  • テクニック7:定数を使って意味を分かりやすくする

テクニック1:複数のcaseをまとめてスッキリ書く

異なる値で同じ処理を行いたい場合、複数のcaseを連続して記述することで、処理を共通化できます。これにより、同じコードを何度も書く必要がなくなります。

// 複数のcaseをまとめる例
int month = 2;
String season;

switch (month) {
    case 12:
    case 1:
    case 2:
        season = "冬";
        break;
    case 3:
    case 4:
    case 5:
        season = "春";
        break;
    default:
        season = "春か冬以外";
        break;
}
System.out.println(month + "月は" + season + "です。"); // 出力: 2月は冬です。

テクニック2:あえてbreakしない「フォールスルー」

通常はバグの原因となるbreakの書き忘れですが、意図的にbreakを書かないことで、上から下へ処理を連続して実行させる「フォールスルー」というテクニックがあります。

あるランク以上のユーザーに、共通の特典を段階的に付与するような処理で活用できます。ただし、コードが読みにくくなるため、コメントで意図を明記することが推奨されます。

// フォールスルーの例
int rank = 2; // ランク2のユーザー

System.out.println("ランク" + rank + "の特典一覧:");
switch (rank) {
    case 1: // Gold
        System.out.println("・特別割引");
        // breakしない
    case 2: // Silver
        System.out.println("・送料無料");
        // breakしない
    case 3: // Bronze
        System.out.println("・ポイント2倍");
        break;
}
// 実行結果:
// ランク2の特典一覧:
// ・送料無料
// ・ポイント2倍

テクニック3:メソッド呼び出しで処理をまとめる

case内の処理が長くなると、switch文全体の可読性が低下します。そのような場合は、処理を別のメソッドとして切り出し、caseからはそのメソッドを呼び出すだけにするとコードが非常にスッキリします。

// メソッドを呼び出す例
public void executeCommand(String command) {
    switch (command) {
        case "LOGIN":
            executeLogin();
            break;
        case "LOGOUT":
            executeLogout();
            break;
        default:
            showError();
            break;
    }
}

// 各処理をメソッドに切り出す
private void executeLogin() { /* ログイン処理... */ }
private void executeLogout() { /* ログアウト処理... */ }
private void showError() { /* エラー表示処理... */ }

テクニック4:文字列(String)や列挙型(enum)で使う

Java 7以降では文字列(String)を、また列挙型(enum)をswitch文の条件として利用できます。マジックナンバー(意味の分かりにくい数字)を排除し、コードの意図をより明確にできます。

// enum(列挙型)の定義
public enum Signal {
    RED, BLUE, YELLOW
}

// enumをswitch文で使う
Signal color = Signal.BLUE;
switch (color) {
    case RED:
        System.out.println("止まれ");
        break;
    case BLUE:
        System.out.println("進め");
        break;
    case YELLOW:
        System.out.println("注意");
        break;
}
// 実行結果: 進め

テクニック5:nullチェックでエラーを未然に防ぐ

switch文の式にnullが渡されると、NullPointerExceptionという実行時エラーが発生します。これを防ぐため、switch文を実行する前に、対象の変数がnullでないかを確認する習慣をつけましょう。

String fruit = null;

// 先にnullチェックを行う
if (fruit != null) {
    switch (fruit) {
        case "apple":
            System.out.println("りんご");
            break;
        default:
            System.out.println("その他");
            break;
    }
} else {
    System.out.println("果物が選択されていません。");
}
// 実行結果: 果物が選択されていません。

テクニック6:switch文をネスト(入れ子)にする

switch文の中に、さらに別のswitch文を入れる「ネスト(入れ子)」構造も可能です。より複雑な条件分岐を表現できますが、階層が深くなるとコードが非常に複雑になるため、使い所には注意が必要です。

// ネストしたswitch文の例
String userType = "Admin";
int permissionLevel = 1;

switch (userType) {
    case "Admin":
        System.out.println("管理者メニュー");
        switch (permissionLevel) {
            case 1:
                System.out.println("フルアクセス権限");
                break;
            case 2:
                System.out.println("読み取り専用権限");
                break;
        }
        break;
    case "Guest":
        System.out.println("ゲストメニュー");
        break;
}
// 実行結果:
// 管理者メニュー
// フルアクセス権限

テクニック7:定数を使って意味を分かりやすくする

caseで使う値を、意味のある名前を付けた「定数」に置き換えることで、コードの可読性が格段に向上します。
後から見たときに、その値が何を示しているのか一目で分かるようになります。

// 定数を定義
public static final int STATUS_SUCCESS = 200;
public static final int STATUS_NOT_FOUND = 404;

// 定数を使ったswitch文
int statusCode = 200;
switch (statusCode) {
    case STATUS_SUCCESS:
        System.out.println("成功");
        break;
    case STATUS_NOT_FOUND:
        System.out.println("見つかりません");
        break;
}
// 実行結果: 成功

【Java 14以降】もう迷わない!新しいswitch式(アロー構文)の使い方

Java 14で正式に導入された、新しい「switch式」について解説します。従来のswitch文(switch statement)がより簡潔かつ安全に書けるよう進化しました。このモダンな書き方を覚え、コードをレベルアップさせましょう。

  • 新しいswitch式(switch expression)とは?
  • breakいらず!アロー(->)で書く新しい構文
  • switch式から値を返す「yield」の使い方

新しいswitch式(switch expression)とは?

switch式は、文(statement)ではなく、値を返す式(expression)である点が最大の特徴です。これにより、switchの結果を直接変数に代入できるようになりました。

従来のswitch文にあったbreakの書き忘れによる意図しない動作(フォールスルー)が、構文上発生しなくなり、より安全なコードが書けます。この新しい書き方は、Javaの公式ドキュメントでも推奨されています。
(参考:Oracle Java Tutorials - The switch Statement

breakいらず!アロー(->)で書く新しい構文

新しいswitch式では、コロン:の代わりにアロー->を使います。アローの右側には、実行したい処理や返す値を記述します。この構文ではbreakは不要です。

// 新しいswitch式(アロー構文)の例
int day = 3;

String dayName = switch (day) {
    case 1, 2, 3, 4, 5 -> "平日";
    case 6, 7         -> "休日";
    default           -> "不正な曜日";
}; // 式なのでセミコロン;を忘れない

System.out.println(dayName); // 出力: 平日

上の例のように、複数のcaseをカンマ,で区切ってまとめることも可能で、よりコードが簡潔になります。

ポイント:文から式への進化

従来のswitch文は、単に処理を分岐させるだけの「文」でした。しかし、新しいswitch式は計算結果として値を生成する「式」です。これにより、String result = switch(...)のように、結果を直接変数に入れられるようになり、コードの冗長性が大幅に削減されました。

switch式から値を返す「yield」の使い方

アロー->の右側の処理が複数行にわたる場合は、ブロック{}で囲み、値を返すためにyieldキーワードを使用します。

yieldは、そのブロックから返す値を指定するためのもので、returnに似ていますがswitch式専用のキーワードです。

// yieldを使った例
String fruit = "Apple";

int price = switch (fruit) {
    case "Apple" -> 150;
    case "Orange" -> 120;
    case "Grape" -> {
        System.out.println("ぶどうは高級品です。");
        // ブロックから値を返すためにyieldを使う
        yield 500;
    }
    default -> 0;
};

System.out.println(fruit + "の価格は" + price + "円です。");
// 実行結果:
// Appleの価格は150円です。

Javaのコーディングスキルをさらに高めたい方には、体系的に学べる書籍での学習も有効です。特に「スッキリわかるJava入門」シリーズは、初心者にも分かりやすい解説で人気があり、switch式のような新しい構文についても丁寧に解説されています。

まとめ

この記事では、Javaのswitch文について、基本から応用まで幅広く解説しました。

最後に、重要なポイントを振り返っておきましょう。

  • switch文は特定の値に応じた分岐が得意な構文である。
  • 3つ以上の選択肢がある場合は、if文よりswitch文の方が読みやすいことが多い。
  • breakの書き忘れはバグの原因になるため注意が必要。
  • 複数のcaseをまとめたり、メソッドを呼び出したりするとコードがスッキリする。
  • Java 14以降は、より安全で簡潔な「switch式(アロー構文)」の利用が推奨される。

switch文を適切に使い分けることは、自分だけでなく他の開発者にとっても分かりやすい、保守性の高いコードを書くための重要なスキルです。

特に新しいswitch式は、今後のJavaプログラミングの主流になっていくでしょう。ぜひ実際のコーディングで積極的に活用してみてください。

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リモートワークでエンジニア兼Webディレクターとして活動しています。プログラミングやAIなど、日々の業務や学びの中で得た知識や気づきをわかりやすく発信し、これからITスキルを身につけたい人にも役立つ情報をお届けします。 note → https://note.com/yurufuri X → https://x.com/mnao111

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