過学習の防止対策を完全マスター!未知のデータも怖くないモデルへ

2025年5月7日水曜日

アーキテクト

過学習の防止対策、バッチリですか?機械学習モデルを作っていると、訓練データでは「お、イイ感じ!」なのに、いざ新しいデータで試すと「あれれ…全然ダメじゃん…」なんてこと、ありますよね。実は、多くの人が頭を悩ませる過学習が原因かもしれません。でも大丈夫!

この記事では、過学習ってそもそも何?という基本から、今日から使える具体的な防止策、さらには一歩進んだ実装テクニックまで、どこよりも分かりやすく、そして楽しく解説していきます。

この記事でわかること

  • 過学習の仕組みがスッキリわかる
  • 代表的な過学習防止策をマスターできる
  • 自分のモデルが過学習か見抜けるようになる
  • 実践的なコードで対策を試せる

過学習とは何か?

機械学習モデルを作るとき、避けては通れないのが「過学習(かがくしゅう)」という現象です。

ここでは、過学習が一体何者なのか、そしてなぜ困ったことになるのかを、肩の力を抜いて見ていきましょう。

簡単に言うと、過学習はモデルが訓練データに慣れすぎちゃった状態のこと。例えるなら、試験範囲の問題だけを丸暗記して、その範囲の問題は100点取れるけど、ちょっとひねられた応用問題が出ると、とたんに手も足も出なくなる生徒さんのようなイメージです。

訓練データという名の「過去問」にはバッチリ対応できるけど、新しいデータという名の「本番の試験」では実力を発揮できないんですね。

モデルが訓練データにピッタリフィットしすぎると、データの細かいノイズ(偶然そうなっているだけの部分)まで学習してしまいます。

その結果、訓練データではすごく高い精度を出すのに、実際に使いたい未知のデータに対しては予測がうまくいかない、という残念な事態になっちゃうんです。

【図】過学習のイメージ

訓練データ(点線):モデル(実線)がピッタリフィット!
                                
  ^       / ̄ ̄\
  |  ●   /     ●
  | /\ /  ●   \
  | ●  ●     / ̄●\
  | \/ \   /    ●
  |  ●   \●/
  +-------------------------->

未知データ(点線):モデル(実線)がうまくフィットしない…
  ^       / ̄ ̄\
  |  ○   /     ○
  | /\ /  ○   \
  | ○  ○     / ̄○\  ←ズレてる!
  | \/ \   /    ○
  |  ○   \○/
  +-------------------------->
  (●:訓練データ点, ○:未知データ点)

これじゃあ、せっかく作ったモデルも宝の持ち腐れですよね。

だからこそ、過学習を理解して、きちんと対策することが、本当に使えるモデルを作るためにはめちゃくちゃ大事なんです。

過学習が引き起こす問題点とは

過学習、なんだか厄介そうですよね。では、実際にどんな困ったことが起きるんでしょうか?

例えば、あなたがECサイトの売上予測モデルを作ったとします。過去の売上データ(訓練データ)を使って学習させたら、過去の売上パターンはバッチリ予測できるようになりました。

やったー!と喜んで、これから先の売上を予測させたら…あれ?全然当たらない。むしろ、おかしな予測値ばかり出てくる!

過学習したモデルは、訓練データの特定の特徴やノイズに過剰に反応してしまうため、新しいデータが来たときに、その特徴がないと途端に性能が落ちてしまうんです。不良品検知システムなら、訓練データにあった特定の傷には敏感なのに、新しいタイプの不良品はスルーしちゃうとか。

株価予測モデルなら、過去の特定のパターンには反応するけど、市場の新しい動きには全くついていけない、なんてことも。これじゃあ、モデルを実用化できませんよね。つまり、過学習はモデルの信頼性を大きく損ねてしまう、とっても迷惑な現象なんです。

過学習と未学習の違いを明確に理解する

過学習とセットでよく聞く言葉に「未学習(みがくしゅう)」または「学習不足」があります。この二つ、ごっちゃになっている人もいるかもしれないので、ここでスッキリ整理しておきましょう!

未学習は、その名の通り、モデルがまだ十分に学習できていない状態です。例えるなら、試験範囲の勉強が全然終わっていなくて、過去問も本番の試験も、どっちも点数が取れない生徒さん。つまり、訓練データに対しても、未知のデータに対しても、どっちも精度が低い状態を指します。

一方、過学習は先ほど説明した通り、訓練データにはバッチリ合うけど、未知のデータには合わない状態。勉強しすぎて応用が利かない生徒さんでしたね。
学習の進み具合をグラフで見ると、こんな感じになります。

【図】学習曲線での過学習と未学習

  精度・エラーなど ^
    未学習 | ̄\___________ (訓練・検証ともに低い)
           |  \
    理想的 |   \___/ ̄ ̄ ̄ ̄ (訓練・検証ともに高い)
           |    \/
    過学習 |_____/ ̄ ̄ ̄\__ (訓練は高いが検証で悪化)
           |    /     \
           +--------------------------> 学習回数

モデルを作るときは、未学習でもなく、過学習でもない、ちょうどいいバランスの「汎化性能(はんかせいのう)が高い」状態を目指すのがゴール。

汎化性能が高いというのは、未知のデータに対してもちゃんと実力を発揮できる、賢いモデルだということです。

機械学習モデルを悩ませる過学習の防止対策

さて、過学習の恐ろしさが分かったところで、いよいよ本題の「どうやって防ぐの?」という話に入っていきましょう!

幸いなことに、先人たちが編み出してくれた、過学習と戦うための武器(対策)はたくさんあります。ここでは、特に代表的で効果的な防止策をピックアップして、それぞれの仕組みと使い方を解説していきますね。これであなたも過学習ハンターだ!

【過学習防止対策1】データ量を増やすデータ拡張とは

過学習が起きる大きな原因の一つに、モデルが学習する「お手本」となるデータが少ない、というのがあります。データが少ないと、モデルはその少ないデータの特徴を隅々まで覚えようとしてしまい、結果として過学習しやすくなるんです。

そこで登場するのが「データ拡張(Data Augmentation)」というテクニック。

これは、手持ちのデータをちょっとずつ変化させて、水増しするイメージです。例えば、ネコの画像データがたくさん欲しいけど、50枚しかない…なんて時に、その50枚を左右反転させたり、少し回転させたり、明るさを変えたりして、あたかも新しいデータのように見せかけるんです。

【図】データ拡張のイメージ(画像の場合)

元の画像       拡張後の画像例
  ___        ___         ___
 | ^ω^|  →    |^ω^ | (左右反転)   |・ω・`| (ちょっと回転)
 | つ  と|       |と  つ|        | ` と丿
   ̄ ̄ ̄         ̄ ̄ ̄          ̄ ̄ ̄

こうやってデータのバリエーションを増やすことで、モデルは「あ、ネコってこういう向きもあるのね」「ちょっと暗くてもネコはネコだな」みたいに、より本質的な特徴を学べるようになります。

結果として、未知のデータに対する対応力が上がり、過学習を抑える効果が期待できるというわけ。画像データなら回転、反転、拡大縮小、明るさ変更など。テキストデータなら、類義語に置き換えたり、一部の単語をランダムに削除したり挿入したり、といった手法がありますよ。

【過学習防止対策2】モデルの複雑さを抑制する正則化

モデルが複雑すぎると、訓練データに細かくフィットしすぎて過学習の原因になることがあります。「正則化(せいそくか)」は、そんなモデルの複雑さにブレーキをかけることで、過学習を防ごうとするテクニックです。

例えるなら、優秀だけどちょっと暴走しがちな部下に、いい感じの上司が「まあまあ、落ち着いて」と手綱を引くようなイメージでしょうか。

具体的には、モデルが学習するときの計算(損失関数といいます)に、ペナルティ項というものを加えます。このペナルティは、モデルのパラメータ(学習によって調整される数値)が大きくなりすぎないようにする役割があります。パラメータが大きいと、モデルは訓練データのごく細かい変動にも敏感に反応しやすくなるので、それを抑えるんですね。

代表的な正則化には、L1正則化(ラッソ回帰)とL2正則化(リッジ回帰)があります。

  • L1正則化:不要なパラメータをゼロにしてくれる効果があり、モデルをシンプルにする(特徴選択)のに役立ちます。
  • L2正則化:パラメータの値を全体的に小さく抑えることで、滑らかなモデルを作るのに役立ちます。

どっちを使うかは状況によりますが、一般的にはL2正則化が広く使われる傾向にあります。正則化は、多くの機械学習ライブラリで簡単に設定できるので、試してみる価値大ですよ!

【過学習防止対策3】ニューラルネットワークの切り札ドロップアウト

ニューラルネットワークという、人間の脳の神経回路をヒントにしたモデルで特によく使われる過学習防止策が「ドロップアウト」です。これは、なかなか面白いアイデアなんですよ。

ニューラルネットワークは、たくさんの「ニューロン」と呼ばれる計算ユニットが層になって繋がっています。ドロップアウトは、訓練中に、これらのニューロンの一部をランダムに「お休み」させるんです。

まるで、チームで作業しているときに、毎回ランダムに何人かのメンバーを休ませるようなもの。残ったメンバーは、休んだ人の分もカバーしようと頑張るので、結果的に一人ひとりがより多くの役割をこなせるようになり、チーム全体として特定の誰かに頼りすぎない、より頑健な状態になります。

【図】ドロップアウトのイメージ

通常のニューラルネットワークの一部  ドロップアウト適用時(×がお休み中ニューロン)
 層1   層2         層1   層2
 ● conectado a ●         ● conectado a × (休み)
  \  /            \
 ●─conectado a─●         × (休み)      ●
  /  \            /
 ● conectado a ●         ●─conectado a─●

各ニューロンが「いつ自分が休まされるかわからない」という状況になるので、特定のニューロンの出力に過度に依存するのを防ぐことができます。

これにより、モデルはより汎用的な特徴を学習するようになり、過学習が抑制されるというわけです。ドロップアウトは、特に大規模で複雑なニューラルネットワークで効果を発揮しやすいと言われています。

【過学習防止対策4】学習の行き過ぎを防ぐ早期終了

「早期終了(Early Stopping)」は、その名の通り、モデルの学習を「ちょうどいいところで」ストップさせるという、とっても直感的で効果的な過学習防止策です。

マラソンに例えるなら、一番良いタイムが出そうなベストなタイミングでゴールテープを切るイメージですね。

モデルの学習を進めていくと、訓練データに対する精度はどんどん上がっていきます。でも、あるポイントを過ぎると、未知のデータ(これを「検証データ」と呼びます)に対する精度は逆に下がり始めてしまうことがあるんです。これが過学習のサイン!

早期終了では、学習の途中で定期的に検証データを使ってモデルの性能をチェックします。そして、検証データに対する精度が改善しなくなったり、むしろ悪化し始めたら、「あ、ここが限界だな」と判断して学習をストップさせます。とってもシンプルですが、無駄な学習を防いで、モデルが訓練データにフィットしすぎるのを効果的に防ぐことができるんですよ。

【図】早期終了のイメージ(学習曲線)

  精度 ^
       |訓練データ精度 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       |       /
       |検証データ精度/ ̄\_______
       |      /   \ ←このへんでストップ!
       |         /
       +----------------------------------> 学習回数

多くの機械学習ライブラリでは、この早期終了を簡単に設定できるようになっているので、ぜひ活用してみてください。

あなたのモデルも危険?過学習を見抜く方法と効果的な対策

さて、色々な過学習の防止対策を見てきましたが、「じゃあ、うちのモデルは大丈夫なの?」「どの対策を使えばいいの?」という疑問が湧いてきますよね。

ご安心ください!ここでは、自分のモデルが過学習の危険にさらされていないかを見抜く方法と、数ある対策の中からピッタリのものを選ぶためのヒントをお伝えします。

学習曲線で過学習の兆候をキャッチする

自分のモデルが過学習気味かどうかをチェックするのに、とっても便利なのが「学習曲線(Learning Curve)」を描いてみることです。

学習曲線とは、モデルの学習が進むにつれて、訓練データでの成績と、検証データ(訓練に使っていないデータ)での成績がどう変化していくかをグラフにしたものです。
このグラフの形を見ると、モデルの状態が一目瞭然!

  • 訓練データでの成績は良いのに、検証データでの成績が途中から伸び悩んだり、むしろ悪くなっていったりする場合。これは典型的な過学習のサインです!モデルが訓練データにだけ詳しくなりすぎている証拠ですね。
  • 訓練データでも検証データでも、どっちも成績が低いまま。これは未学習(学習不足)の可能性が高いです。モデルがまだデータの特徴を掴みきれていないんですね。
  • 訓練データと検証データの成績が、どちらも良いところで安定している。これが理想的な状態!汎化性能の高いモデルができていると言えそうです。

学習曲線を描くことで、ただ闇雲に学習を続けるのではなく、「あ、そろそろ過学習が始まってるかも?」とか「もっと学習が必要だな」といった判断がしやすくなります。

多くの機械学習ライブラリで簡単に描画できるので、まずは自分のモデルの健康診断をしてみましょう!

交差検証でモデルの汎化性能を正しく評価する

モデルの本当の実力、つまり「未知のデータに対してどれだけうまくやれるか(汎化性能)」を測るのは、実は結構デリケートな作業です。訓練データを一部取り分けて検証データとして使う方法もありますが、その分け方によってたまたま良い結果が出たり、逆に悪い結果が出たりすることがあります。

そこで役立つのが「交差検証(Cross-Validation、クロスバリデーションとも言います)」というテクニック。これは、手持ちのデータをいくつかのグループに分けて、持ち回りで訓練役と検証役を交代させながらモデルの性能を評価する方法です。

例えば、データを5グループに分けたら、1回目はグループ1を検証に、残り4グループを訓練に。2回目はグループ2を検証に、残り4グループを訓練に…というのを5回繰り返して、その平均で性能を評価します。

【図】交差検証(5-foldの場合)のイメージ

全データ: [A][B][C][D][E]

1回目: 訓練[B,C,D,E] / 検証[A] → 性能評価1
2回目: 訓練[A,C,D,E] / 検証[B] → 性能評価2
3回目: 訓練[A,B,D,E] / 検証[C] → 性能評価3
4回目: 訓練[A,B,C,E] / 検証[D] → 性能評価4
5回目: 訓練[A,B,C,D] / 検証[E] → 性能評価5

最終評価: (性能評価1 + 2 + 3 + 4 + 5) / 5

こうすることで、データの分け方による偶然の影響を減らして、より安定した、信頼できるモデルの評価が得られます。ちょっと手間はかかりますが、モデルの真の実力を見極めるためには非常に有効な方法ですよ。

どの過学習防止対策を選ぶべきか判断基準を解説

さあ、データ拡張、正則化、ドロップアウト、早期終了と、色々な過学習防止策が出てきましたね。どれも魅力的ですが、一体どれを選べばいいのでしょう?

実は「これが絶対!」という万能薬はなくて、状況に合わせて使い分けるのがコツなんです。
選ぶときのヒントをいくつか紹介しますね。

  • データが少ないのが悩みなら
    まずは「データ拡張」を試してみましょう。手軽にデータ量を増やせる可能性があります。
  • モデルが複雑すぎるかもと感じたら
    「正則化」が効果的かもしれません。モデルの暴走を抑えてくれます。
  • ニューラルネットワークを使っているなら
    「ドロップアウト」は試す価値大です。特に層が多いモデルで有効です。
  • 学習に時間がかかりすぎる、または学習曲線の形が気になるなら
    「早期終了」が役立ちます。無駄な学習をカットできます。

もちろん、これらの対策を一つだけじゃなく、いくつか組み合わせて使うこともよくあります。例えば、データ拡張でデータを増やしつつ、ドロップアウトと早期終了も使う、といった具合です。

色々試してみて、自分のモデルとデータに一番合う組み合わせを見つけていくのが、良いモデル作りの近道ですよ!

実践で役立つ過学習防止対策の実装テクニック

理論はバッチリ!でも、実際にどうやってコードに落とし込むの?という疑問にお答えする時が来ました。

ここでは、人気の機械学習ライブラリであるscikit-learn、TensorFlow/Keras、PyTorchを使って、これまで紹介してきた過学習防止策を「サクッと」実装する方法を見ていきましょう。コピペして動かせるサンプルも用意したので、ぜひ自分の手で試してみてくださいね!

scikit-learnでの正則化や早期終了の実装例

scikit-learnは、手軽に機械学習を試せる人気のライブラリです。多くのモデルで、パラメータを指定するだけで簡単に正則化を適用できますよ。

例えば、ロジスティック回帰でL2正則化を使うなら、こんな感じです。

# ソースコード (Python - scikit-learn)
from sklearn.linear_model import LogisticRegression
from sklearn.datasets import make_classification
from sklearn.model_selection import train_test_split

# ダミーデータ生成
X, y = make_classification(n_samples=100, n_features=20, random_state=42)
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.3, random_state=42)

# L2正則化を適用 (Cの値が小さいほど正則化が強い)
# penalty='l2'がデフォルトの場合もあります
model = LogisticRegression(penalty='l2', C=0.1, solver='liblinear')
model.fit(X_train, y_train)

print(f"訓練データでの精度: {model.score(X_train, y_train):.3f}")
print(f"テストデータでの精度: {model.score(X_test, y_test):.3f}")

Cというパラメータが正則化の強さを調整します。小さいほど強い正則化がかかります。penalty='l1'にすればL1正則化も試せます

また、勾配ブースティングのような一部のアルゴリズムでは、早期終了も組み込まれています。例えばGradientBoostingClassifierなら、n_iter_no_changevalidation_fractiontolといったパラメータで設定できます。

# ソースコード (Python - scikit-learn GradientBoostingClassifier)
from sklearn.ensemble import GradientBoostingClassifier

# 早期終了を設定 (例: 5回連続で検証スコアが0.01以上改善しなかったら停止)
gb_model = GradientBoostingClassifier(n_estimators=200, # 最大の木の数
                                    validation_fraction=0.1, # 検証データの割合
                                    n_iter_no_change=5, # 改善が見られなくなる許容回数
                                    tol=0.01, # 改善とみなす閾値
                                    random_state=42)
gb_model.fit(X_train, y_train)

print(f"訓練データでの精度 (GB): {gb_model.score(X_train, y_train):.3f}")
print(f"テストデータでの精度 (GB): {gb_model.score(X_test, y_test):.3f}")
print(f"実際に使われた木の数: {gb_model.n_estimators_}")

このように、scikit-learnを使えば、数行のコードで強力な過学習対策を試すことができるんです。便利ですよね!

TensorFlow/Kerasにおけるドロップアウト層の追加方法

ニューラルネットワークを作るなら、TensorFlowと、その上で動くKerasというライブラリがとっても人気です。Kerasを使うと、ドロップアウト層の追加もびっくりするほど簡単なんですよ。

モデルの層を積み重ねていく途中で、Dropoutという層を挟むだけ!

# ソースコード (Python - TensorFlow/Keras)
import tensorflow as tf
from tensorflow import keras
from keras.layers import Dense, Dropout
from sklearn.datasets import make_classification
from sklearn.model_selection import train_test_split
import numpy as np

# ダミーデータ生成
X, y = make_classification(n_samples=1000, n_features=20, random_state=42)
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

# Kerasモデルの定義
model = keras.Sequential([
    Dense(128, activation='relu', input_shape=(X_train.shape[1],)),
    Dropout(0.5),  # ここでドロップアウト! 50%のニューロンをランダムに無効化
    Dense(64, activation='relu'),
    Dropout(0.3),  # ここでもドロップアウト! 30%
    Dense(1, activation='sigmoid') # 出力層 (二値分類の場合)
])

model.compile(optimizer='adam',
              loss='binary_crossentropy',
              metrics=['accuracy'])

# モデルの学習 (早期終了もコールバックで追加可能)
# Kerasの早期終了コールバック
early_stopping = keras.callbacks.EarlyStopping(monitor='val_loss', patience=10, restore_best_weights=True)

history = model.fit(X_train, y_train,
                    epochs=100,
                    batch_size=32,
                    validation_split=0.2, # 訓練データの一部を検証用に使う
                    callbacks=[early_stopping],
                    verbose=0) # verbose=0で学習中のログ出力を抑制

loss, accuracy = model.evaluate(X_test, y_test, verbose=0)
print(f"テストデータでの損失: {loss:.3f}")
print(f"テストデータでの精度: {accuracy:.3f}")
# 学習が何エポックで停止したか確認
print(f"早期終了したエポック数: {early_stopping.stopped_epoch}")

Dropout(0.5)と書けば、その層のニューロンの50%が訓練中にランダムで無効化されます。このドロップアウト率は、0.2から0.5くらいの間で設定されることが多いですが、モデルやデータによって最適な値は変わるので、色々試してみるのがおすすめです。

また、Kerasではcallbacksを使って早期終了も簡単に実装できますよ。

PyTorchでのデータ拡張ライブラリの活用

PyTorchも、ニューラルネットワークの研究や開発で非常に人気のあるライブラリです。特に画像認識の分野では、torchvision.transformsという便利なモジュールがあって、これを使うとデータ拡張がサクッとできちゃいます。

例えば、画像データに対して、ランダムに左右反転させたり、色調を変えたり、といった処理を組み合わせることができます。

# ソースコード (Python - PyTorch)
import torch
import torchvision
import torchvision.transforms as T # transformsモジュールをTとしてインポート
from PIL import Image # 画像処理ライブラリPillowを使う想定

# データ拡張の定義例
# これをDatasetやDataLoaderに適用する
data_transforms_train = T.Compose([
    T.RandomResizedCrop(224),      # ランダムにリサイズしてクロップ
    T.RandomHorizontalFlip(),      # 50%の確率で左右反転
    T.ColorJitter(brightness=0.2, contrast=0.2, saturation=0.2, hue=0.1), # 色調をランダムに変更
    T.RandomRotation(degrees=15),  # ランダムに回転
    T.ToTensor(),                  # PyTorchのテンソル形式に変換
    T.Normalize(mean=[0.485, 0.456, 0.406], std=[0.229, 0.224, 0.225]) # 標準化
])

data_transforms_val = T.Compose([ # 検証用は通常、リサイズと標準化程度
    T.Resize(256),
    T.CenterCrop(224),
    T.ToTensor(),
    T.Normalize(mean=[0.485, 0.456, 0.406], std=[0.229, 0.224, 0.225])
])

# 使い方のイメージ (ダミー画像で試す)
try:
    # ダミー画像の作成 (真っ白な画像)
    dummy_image = Image.new('RGB', (300, 300), color = 'white')
    transformed_image = data_transforms_train(dummy_image) # 訓練用データ拡張を適用
    print("データ拡張後のテンソルの形状:", transformed_image.shape)
    # 表示の確認 (通常はmatplotlibなどを使う)
    # import matplotlib.pyplot as plt
    # plt.imshow(transformed_image.permute(1, 2, 0)) # (C, H, W) -> (H, W, C)に変換して表示
    # plt.show()
except Exception as e:
    print(f"エラーが発生しました: {e}")
    print("Pillowがインストールされているか、画像パスが正しいか確認してください。")

# 実際のデータセットに適用する場合 (例: ImageFolder)
# train_dataset = torchvision.datasets.ImageFolder(root='path/to/train_data', transform=data_transforms_train)
# train_loader = torch.utils.data.DataLoader(train_dataset, batch_size=32, shuffle=True)

T.Compose([...])の中に、やりたい変換処理をリストで渡すだけ。訓練データには多様性を持たせるために多くの変換を、検証データやテストデータには一貫性を保つために最小限の変換を適用するのが一般的です。PyTorchを使えば、こんな感じでデータ拡張も自由自在!

【まとめ】過学習防止対策を理解してモデル精度を向上させよう

ここまで、過学習とは何か、なぜ問題なのか、そしてどうやって防ぐのか、さらには具体的な実装方法まで、一緒に見てきましたね。なんだか、過学習とも仲良くなれそうな気がしてきませんか?

最後に、この記事でお伝えした大切なポイントを振り返っておきましょう。

  • 過学習は訓練データにモデルが慣れすぎて、未知のデータに対応できなくなる現象。
  • 主な対策には、データ拡張、正則化、ドロップアウト、早期終了などがある。
  • 学習曲線や交差検証で、自分のモデルの状態をチェックしよう。
  • どの対策を選ぶかは、データの種類やモデルの特性、状況に応じて考えよう。
  • scikit-learnやTensorFlow/Keras、PyTorchなどのライブラリを使えば、対策の実装も怖くない!

機械学習のモデル作りは、トライ&エラーの連続です。最初から完璧なモデルができることなんて、まずありません。でも、過学習のような「つまずきポイント」をちゃんと理解して、適切な対策を打てるようになれば、モデルの精度は着実に上がっていきます。

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