プログラミング学習で最初に挑戦するJavaプログラムの実行は、基本でありながら、つまずきやすいポイントでもあります。
この記事では、Javaプログラムを実行するための環境準備から、基本的なコマンド操作、実務で使われるツールでの実行方法まで、5つのステップで分かりやすく説明します。
この記事を読み終える頃には、エラーを恐れずに自力でJavaプログラムを実行できるようになるでしょう。
この記事で学べること
- Javaプログラムが動く基本的な仕組み
- 実行に必要な開発環境の準備手順
- コマンドラインを使った基本的なプログラム実行方法
- 実務で標準的なIDEを使った効率的な実行方法
- よくあるエラーの原因と、その解決策
Javaプログラム実行の全体像をサクッと理解しよう
ここでは、Javaプログラムがどのようにして動くのか、その全体像を掴みます。
実行方法の種類と、それぞれの特徴を知ることで、学習の道筋が見えてくるはずです。
この章で説明する内容は以下の通りです。
- この記事でわかること
- Javaプログラムが動く仕組みとは?
- コマンドライン実行とIDE実行の違い
この記事でわかること
プログラミングの世界へようこそ。
この記事では、ご自身のパソコンでJava言語のプログラムを動かすための、一連の手順を丁寧に解説していきます。
プログラミングは、書いたコードが実際に動く瞬間に大きな達成感を得られます。
その第一歩を、この記事がしっかりと後押しします。
Javaプログラムが動く仕組みとは?
Javaプログラムは、人間が書いたソースコード(.javaファイル)が、コンピューターが理解できる形式(.classファイル)に変換されてから実行されます。
この変換作業をコンパイルと呼びます。
コンパイルによって生成された.classファイルを、JVM(Java Virtual Machine / Java仮想マシン)という実行環境が解釈して動かす仕組みです。
一連の流れをまとめると、以下のようになります。
- 1. ソースコード作成(.javaファイル)
- 2. コンパイル(.classファイルへ変換)
- 3. 実行(JVMが.classファイルを動かす)
コマンドライン実行とIDE実行の違い
Javaプログラムの実行方法には、主に「コマンドライン」を使う方法と「IDE(統合開発環境)」を使う方法の2種類があります。
それぞれの特徴を下の表で見てみましょう。
項目 | コマンドライン実行 | IDE実行 |
---|---|---|
特徴 | PCの基本機能(コマンドプロンプトやターミナル)のみで実行するシンプルな方法。 | プログラミング専用の高機能なエディタソフトを使い、ボタン一つで実行できる方法。 |
メリット | プログラムが動く仕組みを深く理解できる。 | コードの入力補助やエラー検出機能が豊富で、開発効率が非常に高い。 |
デメリット | すべての命令を自分で入力する必要があり、手間がかかる。 | ソフトのインストールや初期設定が必要。機能が多くて最初は戸惑うことがある。 |
おすすめの学習者 | まずは基本の仕組みからしっかり学びたい人 | 効率的に開発を進めたい人、実務に近い環境で学びたい人 |
最初はコマンドラインで仕組みを理解し、慣れてきたらIDEで効率化を図るのがおすすめです。
Javaプログラムを実行する前の必須準備
プログラムを実行するには、まずそのための道具をPCに揃える必要があります。
ここでは、Java開発に不可欠な「JDK」のインストールと、PCにその場所を教える「環境変数」の設定方法を解説します。
この章で説明する内容は以下の通りです。
- JDK(Java Development Kit)をインストールしよう
- Windowsでの環境構築手順
- Macでの環境構築手順
- インストールできたか確認する方法
JDK(Java Development Kit)をインストールしよう
JDKは「Java Development Kit」の略で、Javaでプログラムを開発するために必要なソフトウェア一式が詰まったパッケージです。
JDKには、ソースコードをコンパイルする道具(javac.exe)や、実行するための環境(java.exe)が含まれています。
まずは、開発元であるOracle社の公式サイトからJDKをダウンロードしましょう。
LTS(Long-Term Support)と記載のある、長期サポート版を選ぶと安定した開発ができます。2025年時点では、Java 17やJava 21が主流です。
JDKのダウンロード > Oracle Java Downloads
Windowsでの環境構築手順
Windows PCでの環境構築は、インストーラーの指示に従うだけで簡単です。
しかし、PCに「Javaの道具はここにあるよ」と教える環境変数PATHの設定が重要になります。
- 1. OracleのサイトからWindows向けのインストーラー(.msiファイル)をダウンロードする。
- 2. ダウンロードしたファイルを実行し、指示に従ってインストールを進める。
- 3. インストール後、[システムのプロパティ] > [詳細設定] > [環境変数] を開く。
- 4. システム環境変数の「Path」を選択し、[編集] をクリック。
- 5. [新規] をクリックし、JDKのインストール先にある「bin」フォルダのパス(例:C:\Program Files\Java\jdk-21\bin)を貼り付けてOKを押す。
Macでの環境構築手順
Macの場合、インストーラーが自動で設定を行ってくれるため、Windowsよりも手順はシンプルです。
- 1. OracleのサイトからmacOS向けのインストーラー(.dmgファイル)をダウンロードする。
- 2. ダウンロードしたファイルを開き、パッケージインストーラー(.pkgファイル)をダブルクリックする。
- 3. 画面の指示に従ってインストールを完了させる。Macでは通常、環境変数の手動設定は不要です。
インストールできたか確認する方法
JDKが正しくインストールされ、PCが認識しているかを確認しましょう。
Windowsなら「コマンドプロンプト」を、Macなら「ターミナル」を起動して、以下のコマンドを入力します。
書き方
javac -version
表示結果
javac 21.0.2
このように、インストールしたJDKのバージョン番号が表示されれば準備は完了です。
エラーが出る場合は、環境変数PATHの設定が間違っている可能性が高いので、前の手順を見直してみてください。
【基本】コマンドラインでJavaプログラムを実行してみよう
いよいよ、実際にJavaプログラムを作成し、実行するステップです。
ここでは、プログラミングの第一歩として有名な「Hello, World!」という文字列を表示させるプログラムを、コマンドラインを使って動かしてみます。
この章で説明する内容は以下の通りです。
- まずは簡単なプログラムを作成
- `javac`コマンドでコンパイル
- `java`コマンドで実行
まずは簡単なプログラムを作成
はじめに、ソースコードを記述するファイルを作成します。
メモ帳やVS Codeなどのテキストエディタを開き、以下のコードを記述してください。
そして、ファイル名を「HelloWorld.java」として保存します。ファイル名とクラス名(classの横の単語)を完全に一致させることが重要です。
ソースコード
// HelloWorld.java public class HelloWorld { // mainメソッド - プログラムの開始地点 public static void main(String[] args) { // コンソールに文字列を出力する命令 System.out.println("Hello, World!"); } }
ソースコードの解説
これは、画面に「Hello, World!」と表示するための、ごく簡単なJavaプログラムです。
`main`と書かれた部分が、プログラムが動き出す最初の場所となります。
`javac`コマンドでコンパイル
次に、作成したソースコードをコンパイルします。
コマンドプロンプト(またはターミナル)で、先ほど保存した「HelloWorld.java」ファイルがあるディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行します。
書き方
javac HelloWorld.java
`javac`はJavaのコンパイラを起動するコマンドです。
コマンド実行後、何もメッセージが表示されなければ成功です。ファイルが保存されたフォルダ内に、「HelloWorld.class」という新しいファイルが生成されていることを確認してください。
`java`コマンドで実行
最後に、コンパイルして生成されたクラスファイルを実行します。
同じくコマンドプロンプトで、以下のコマンドを入力してください。
書き方
java HelloWorld
表示結果
Hello, World!
ソースコードの解説
`java`コマンドは、指定されたクラスファイルを実行する命令です。このとき、ファイル名の拡張子「.class」は付けないのがルールです。
コンソールに「Hello, World!」と表示されれば、Javaプログラムの実行は成功です。
【実務の定番】IDEでJavaプログラムを実行する方法
コマンドラインでの実行に慣れたら、次は実務で必須のツール「IDE(統合開発環境)」を使ってみましょう。
IDEを使うことで、コーディングから実行までの作業が劇的に効率化されます。
この章で説明する内容は以下の通りです。
- IDEを使うと何が便利なの?
- おすすめIDE①:Eclipse
- おすすめIDE②:IntelliJ IDEA
- IDEでプログラムを実行する手順
IDEを使うと何が便利なの?
IDEは、単なるテキストエディタではなく、プログラミングを強力にサポートする機能が満載のソフトウェアです。
IDEを使う最大のメリットは、開発効率の向上にあります。
- コード補完:命令を途中まで入力すると候補を表示してくれる。
- エラーチェック:コードの文法ミスをリアルタイムで教えてくれる。
- デバッグ機能:プログラムを一行ずつ実行し、変数の状態を確認できる。
- 実行・ビルドの自動化:ボタン一つでコンパイルから実行までを行える。
おすすめIDE①:Eclipse
Eclipse(エクリプス)は、昔からJava開発で広く使われている、歴史と実績のあるオープンソースのIDEです。
無料で利用でき、豊富なプラグインによって機能を拡張できるのが特徴です。
日本語化もされており、学習者向けの情報がインターネット上に多く存在します。
参考:Eclipse 日本語化 Pleiades
おすすめIDE②:IntelliJ IDEA
IntelliJ IDEA(インテリジェイ アイデア)は、近年急速に人気を高めているIDEです。
強力なコード補完やリファクタリング機能に定評があり、直感的でモダンな操作性が魅力です。
無料のCommunity版と、より高機能な有料のUltimate版があります。Java学習の段階では無料版で十分です。
参考:IntelliJ IDEA 公式サイト
IDEでプログラムを実行する手順
EclipseやIntelliJ IDEAでの実行方法は、基本的な流れは同じです。
ここでは一般的な手順を紹介します。
- 1. IDEを起動し、「新規プロジェクト」を作成する。
- 2. プロジェクト内に「クラス」を新規作成する。(例:HelloWorld)
- 3. 作成されたファイルに、コマンドラインの時と同じソースコードを記述する。
- 4. エディタ上で右クリックし、[実行] > [Javaアプリケーション] を選択するか、画面上部にある緑色の再生ボタン(▶)をクリックする。
- 5. IDE下部のコンソールウィンドウに「Hello, World!」と実行結果が表示される。
IDEを使えば、`javac`や`java`といったコマンドを意識することなく、瞬時にプログラムを実行できます。
Java実行でつまずかない!よくあるエラーと解決策7選
プログラミングにエラーはつきものです。ここでは、Javaプログラムの実行時によく遭遇する代表的なエラーと、その対処法を7つ紹介します。
エラーメッセージの意味を理解することが、問題解決への近道です。
この章で説明する内容は以下の通りです。
- ① `javac` is not recognized...
- ② cannot find symbol
- ③ ; expected
- ④ Error: Main method not found in class...
- ⑤ Exception in thread "main" java.lang.NoClassDefFoundError
- ⑥ ファイル名とクラス名の不一致
- ⑦ 全角スペースによるエラー
エラーメッセージ / 状況 | 原因 | 解決策 |
---|---|---|
① 'javac' は、内部コマンドまたは外部コマンド...として認識されていません。 | JDKの環境変数PATHが正しく設定されていない。 | JDKのbinフォルダへのパスが正しく設定されているか確認する。 |
② cannot find symbol | 変数名やメソッド名のスペルミス、または宣言されていない変数を使用している。 | 変数やメソッドの名前が正しいか、大文字小文字を含めて確認する。 |
③ ; expected | 文の終わりにセミコロン(;)が抜けている。 | エラーが出ている行の末尾にセミコロン(;)を追記する。 |
④ Error: Main method not found in class... | 実行の起点となるmainメソッドが正しく記述されていない。 | `public static void main(String[] args)` の記述が正しいか確認する。 |
⑤ java.lang.NoClassDefFoundError | 実行しようとしたクラスファイルが見つからない。 | `java`コマンドで指定したクラス名が正しいか、カレントディレクトリに.classファイルが存在するか確認する。 |
⑥ (コンパイルエラー) | ソースファイル名(.java)と、ファイル内の`public class`名が一致していない。 | ファイル名とクラス名を完全に一致させる。 |
⑦ (コンパイルエラーまたは実行時エラー) | コード内に見た目では分かりにくい全角スペースが混入している。 | エディタの機能で全角スペースを表示させ、半角スペースに修正する。 |
もう一歩先へ!Javaプログラムの応用的な実行方法
基本的な実行方法をマスターしたら、次はより実用的な実行方法に目を向けてみましょう。
ここでは、プログラムを配布しやすくする「JARファイル」や、Webアプリケーションの実行について触れていきます。
この章で説明する内容は以下の通りです。
- JARファイルにして実行する
- Webアプリケーションとして実行する
- ビルドツール(Maven/Gradle)を使って実行する
JARファイルにして実行する
JARファイルは「Java Archive」の略で、複数の.classファイルや設定ファイルなどを、ZIP形式で一つにまとめたものです。
JARファイルにすることで、プログラムの配布や実行が容易になります。
コマンドラインでJARファイルを作成し、実行する手順は以下の通りです。
- 1. `javac`で全ての.javaファイルをコンパイルする。
- 2. `jar`コマンドで.classファイルをJARファイルにまとめる。
- 3. `java -jar`コマンドでJARファイルを実行する。
Webアプリケーションとして実行する
Javaは、企業のWebシステム開発で広く利用されています。
Javaで作成されたWebアプリケーションは、これまでのように`java`コマンドで直接実行するのではなく、「アプリケーションサーバー」と呼ばれる専用のソフトウェア上で動かします。
代表的なアプリケーションサーバーには「Apache Tomcat」があります。
開発したWebアプリケーション(WARファイル形式)をTomcatに配備(デプロイ)することで、ブラウザ経由でアクセスできるようになります。
ビルドツール(Maven/Gradle)を使って実行する
現代のJava開発では、「ビルドツール」の利用が一般的です。
ビルドツールは、コンパイル、テスト、JARファイルの作成、依存ライブラリの管理といった、開発に関わる一連の作業を自動化してくれるものです。
- Maven (メイヴン): XML形式で設定を記述する、実績のあるビルドツール。
- Gradle (グレイドル): Groovyという言語で設定を記述する、後発で柔軟性が高いビルドツール。
これらのツールを使うことで、複雑なプロジェクトでもコマンド一つでビルドから実行までを完結させることができ、開発の生産性が飛躍的に向上します。
まとめ:Javaプログラム実行をマスターして次のステップへ
この記事では、Javaプログラムを実行するための基本的な知識から、実務で使われる応用的な方法までを解説しました。
コマンドラインでの実行で仕組みを理解し、IDEでの実行で効率を上げる、という流れを掴んでいただけたかと思います。
Javaプログラムの実行は、プログラミング学習のほんの入り口にすぎません。書いたコードが動く喜びをバネに、これからもJavaの学習を楽しんでください。
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